小児喘息に対する吸入ステロイド薬は、骨折のリスクをあげるか?

Zieck SE, et al. Asthma, bones and corticosteroids: Are inhaled corticosteroids associated with fractures in children with asthma? J Paediatr Child Health 2017.[Epub ahead of print]

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■ 今、学会参加期間中です。明日は発表がありますが少し更新します。まあ、普段の仕事中より、学会中のほうがよほど体力的に楽だからかもしれませんけど、、、

■ さて、ステロイド内服と骨折リスクはすでに周知の事実ですが、小児喘息における吸入ステロイド薬(ICS)と骨折リスクの報告は多くありません。そこで、ICSと骨折リスクを検討した報告をご紹介いたします。

PECO
P: 2015年9月から2016年1月までオーストラリア・メルボルンの三次子ども病院(ロイヤルチルドレン病院)に受診中の6-18歳の小児
E1: BDP-HFA 250μg未満/日を6ヶ月以上使用している喘息患児 46人
E2: BDP-HFA 250μg以上/日を6ヶ月以上使用している喘息患児 94人
E3: ICSを使用していない喘息患児 71人
C: 健康小児 216人
O: アンケート調査からの自己申告による骨折率

 

結局、何を知りたい?

 ✅小児の吸入ステロイド薬が骨折リスクをあげるかどうかということを知ろうとしている。

 

結果

骨折の発生率は、喘息児(53人;24.6%)と健常対照者(51人;24%)であり有意差はなかった(χ2 =0.132; P=0.717)

■ 喘息小児のサブグループでも、骨折発生率に有意差はなかった(P=0.695)。

結局、何がわかった?

 ✅吸入ステロイド薬を使用中の小児患者の骨折リスクは高くなっていなかった。

 

コメント

■ あくまで症例対照研究ではありますが、吸入ステロイド薬が骨折のリスクをあげないと結論されていました。

■ 骨折はアンケート調査ですのでリコールバイアスがある可能性がありますが、著者は十分配慮したためにそのリスクは低いと述べています。

■ しかし、客観的な手段を用いたICSアドヒアランスや継続の評価、吸入テクニックの評価を行い、前向き・長期の追跡調査が必要とまとめられていました。

今日のまとめ!

 ✅吸入ステロイド薬は、骨折リスクはあげず、吸入ステロイドが高用量でも有意差は認められなかった。

 

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