ジスロマックは非好酸球性喘息の悪化を防ぐ?(AZISASTスタディ)

Brusselle GG, et al. Azithromycin for prevention of exacerbations in severe asthma (AZISAST): a multicentre randomised double-blind placebo-controlled trial. Thorax 2013; 68:322-9.

喘息予防に抗生剤が効果がある?

■ 喘息には様々なフェノタイプがあり、不均一な病態をとります。

■ 分類の仕方も様々ではありますが、例えば好酸球性、非好酸性(主に好中球性)のフェノタイプに分けることが出来、好中球性喘息は、小児でもハイリスク群と考えられています(Guiddir T,  et al. Neutrophilic Steroid-Refractory Recurrent Wheeze and Eosinophilic Steroid-Refractory Asthma in Children. J Allergy Clin Immunol Pract 2017.)。

■ そこで、成人の報告ですが、好中球性喘息にアジスロマイシン(ジスロマック)が効果があるのではないかというランダム化比較試験をご紹介いたします。

 

PECO
P: 18-75歳の増悪を起こしやすい重篤な喘息
持続型喘息の診断
・GINAステップ4もしくは5
・高用量ICS [フルチカゾン相当 ≧1000μg]+LABAを少なくとも6ヶ月間
・全身性ステロイドを要する少なくとも2回の発作 and/or 12ヶ月以内の抗生剤を必要とした下気道感染症[ lower respiratory tract infections; LTRIs])

E: ICS/LABA+追加治療 低用量アジスロマイシン(n=55)
C: ICS/LABA+追加治療 プラセボ(n=54)
O: プライマリアウトカム:26週間の治療フェーズ期間中の重篤な喘息増悪率と抗生物質治療を要するLRTI
 セカンダリアウトカム:肺機能、Asthma Control Questionnaire(ACQ)、Asthma Quality of Life Questionnaire (AQLQ)

 

結局、何を知りたい?

 ✅ジスロマック定期内服が、重篤な喘息患者の発作を減らすかどうかを知ろうとしている。

 

 

ジスロマックは好中球喘息に対して発作を減らしたが、耐性菌の保菌は増加した。

患者はアジスロマイシン(250mg)もしくはプラセボを1カプセル毎日5日間 内服後、週あたり3回1カプセルを内服した。

■ 重篤な喘息増悪とは、以下のうちの少なくとも1が認められる喘息増悪と定義された:
(1)入院; (2)救急室訪問; および/または(3)少なくとも3日間の全身性コルチコステロイド内服。

6ヶ月間のプライマリエンドポイント( primary endpoints ;PEPs)は、2群間に有意差が認められなかった( アジスロマイシン群 0.75 PEPs [95%CI 0.55~1.01]vs プラセボ群 0.81 PEPs[95%CI 0.61~1.09][p=0.682])

■ 事前に定義されたサブグループ解析では、非好酸球性の重篤喘息患者群(血液の好酸球≦200/μl)において、アジスロマイシ群はプラセボ群よりPEP率が有意に低かった(アジスロマイシン群 0.44 PEPs [95%CI 0.25~0.78] vs プラセボ群 1.03 PEPs [ 95%CI 0.72~1.48] [p=0.013])

 

 

論文から引用。A:全体ではジスロマックに喘息予防効果はないが、C:非好酸球性喘息のサブグループでは喘息発作を予防している。

 

■ アジスロマイシンはAQLQを有意に改善したが、ACQまたは肺機能には有意差を認めなかった。

■ アジスロマイシンの忍容性は高かった。

■ 試験開始時、アジスロマイシン群の11人(47.8%)とプラセボ群の9人(39.1%)は、咽頭にエリスロマイシン耐性連鎖球菌を保菌していたが、26週間の研究期間後、アジスロマイシン群の87%、プラセボ群の35%が咽頭にエリスロマイシン耐性連鎖球菌を保菌していた(p < 0.001)

 

結局、何がわかった?

 ✅ジスロマックを6か月内服しても、全体では喘息増悪を減らさなかったが、非好酸球性喘息(≒好中球性喘息)と考えられる群では、ジスロマックを内服しているほうが重篤な発作が少なくなった。

 

 

好中球性喘息に対しては、マクロライド系抗生剤を考慮してもいいかもしれない。

AZIthromycin in Severe ASThma (AZISAST) スタディです。

■ 非好酸球性の重篤喘息患者においては、アジスロマイシン治療による重篤な喘息を悪化を減らすことが出来るものの、さらなる研究が正当化されるとされていました。

■ 自分自身の患者さんでも、ICSやもしくは十分な併用薬でも効果不十分な患者さんがいらっしゃって、ジスロマックは保険適応で難しいこともありますがクラリスロマイシンなどは考慮する場合があるかもしれないと思いました。

 

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今日のまとめ!

 ✅好中球性喘息に対しては、ジスロマック定期内服が喘息発作を減らすかもしれない。ただし、耐性菌の保菌も増える。

 

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