
Roduit C, et al. Phenotypes of Atopic Dermatitis Depending on the Timing of Onset and Progression in Childhood. JAMA Pediatr 2017; 171:655-62.
アトピー性皮膚炎は、他のアレルギー疾患の起点と捉えられるようになっています。
■ アレルギー(アトピー)マーチは、アトピー素因のある人にアレルギー性疾患が次から次へと発症していく様子を行進曲(マーチ)に喩えた概念でです。
■ その起点として、アトピー性皮膚炎が最も多く、”経皮感作”によって引き起こされることが多くの報告で明らかになってきています。
皮膚バリア機能低下をきたしやすい素因を持っていると食物アレルギーを発症しやすい: コホート研究
E1: アトピー性皮膚炎 2歳未満の発症・一過性(n=96; 9.2%)
E2: アトピー性皮膚炎 2歳未満の発症・持続性(n=67; 6.5%)
E3: アトピー性皮膚炎 2歳以降発症(n=50; 4.8%)
C: アトピー性皮膚炎 発症なしもしくは頻回でない
O: どのタイプがその後のアレルギー疾患に強く影響するか
結局、何を知りたい?
✅アトピー性皮膚炎のタイプによって、その後のアレルギー疾患の発症に影響が変わるかということを知ろうとしている。
アトピー性皮膚炎のタイプを4種類に分類し、アレルギー疾患発症リスクを評価。
■ 潜在クラス分析モデルを実施し、小児期アトピー性皮膚炎を4つのフェノタイプに分類された。
1) 2歳未満の発症フェノタイプ(早期発症/一過性[n=96; 9.2%)
2) 2歳未満の発症フェノタイプ (早期発症/持続性[n=67; 6.5%)
3) 2歳以上発症の後期発症フェノタイプ(n=50; 4.8%)
4) 全く発症なしもしくは頻回でないフェノタイプ(n=825; 79.5%)
論文から引用。アトピー性皮膚炎を4つのフェノタイプに分類。
■ さらに、多変量ロジスティック回帰により、アトピー性皮膚炎のフェノタイプと他のアレルギー疾患の関連を分析した。
■ 両親にアレルギーの既往歴のある小児は、両親がアレルギーの既往歴のない小児と比較して、早期発症/持続性フェノタイプのあるアトピー性皮膚炎を発症するリスクが5倍以上になった。
■ 早期発症のフェノタイプは両方とも、食物アレルギーを強く併発した。
■ 喘息を発症するリスクは、アトピー性皮膚炎の早期発症・持続したフェノタイプにおいて有意に増加した(補正オッズ比、2.87; 95%CI 1.31-6.31)。
■ 後期発症フェノタイプは、アレルギー性鼻炎を有意に併発するのみだった。
■ 2歳までの早期発症し持続した症状がある場合は、6歳までの喘息と食物アレルギーの有病率が大きく増加した。
結局、何がわかった?
✅両親にアレルギーのリスクがある場合は、早期発症・症状持続型アトピー性皮膚炎の発症リスクが5倍以上になった。
✅アトピー性皮膚炎を2歳未満に発症し持続すると、喘息発症リスクが2.87倍になる。
✅アトピー性皮膚炎を2歳未満に発症し持続すると、6歳までの喘息・食物アレルギーのリスクが大きく増加した。
アトピー性皮膚炎を低年齢で発症し、持続するほどアレルギー疾患の発症リスクが増加する。
■ 早期発症し特に症状が持続した場合に他のアレルギー疾患を発症するリスクが増加するとまとめられ、特に食物アレルギーは、そのリスクを大幅に増加させると述べられています。
■ この関係は、すでにいくつも報告があり、それらの確認を下報告と言えましょう。
アトピー性皮膚炎を低年齢で発症し重症度が高いほど、食物アレルギー発症が多い: コホート研究
アトピー性皮膚炎の重症度が高いほど、その後の食物アレルギーのリスクは上昇する
より早期に、長期間湿疹が続いたほうが、その後の喘息の発症が多い?
■ これらの知見は、アレルギー予防戦略の開発にとって重要であるとされていました。
今日のまとめ!
✅早期発症・症状持続型アトピー性皮膚炎は、その後のアレルギー疾患発症リスクに大きく関連する。