Khreis H, et al. Exposure to traffic-related air pollution and risk of development of childhood asthma: A systematic review and meta-analysis. Environ Int 2017; 100:1-31.
交通機関による大気汚染は、小児喘息の発症に関連するか?
■ 大気汚染はアレルギーや呼吸機能低下に関連するという報告を、以前ご紹介いたしました。
交通機関による大気汚染は、アレルギーや呼吸機能低下に関連する: コホート研究
■ そして、最近、大気汚染による害は低所得の方ほどこうむってしまうという報告もNEJMにされています。
Air Pollution and Mortality in the Medicare Population
■ そこで今回は、大気汚染と小児喘息の発症リスクに関するメタアナリシスをご紹介いたします。
E: 小児のTRAP曝露
C:
O: TRAP曝露と18歳までの喘息発症率または生涯有病率
結局、何を知りたい?
✅交通関連汚染物と小児喘息発症リスクの関係を知ろうとしている。
交通関連汚染物質と小児喘息発症リスクを研究した41研究をまとめた。
■ 事前に定義したテンプレートに従い、各研究の主要な特性を抽出して集計し、Critical Appraisal Skills Programチェックリストを使用して、含まれている各研究の妥当性を評価した。
■ 持続した汚染物質曝露に対して4つ以上の独立したリスク評価が使用可能である場合は、全般的および年齢別のメタアナリシス、および各曝露 - アウトカム関連の4つの感度分析を実施した。
■ 研究ごとに喘息の定義、TRAP曝露の評価方法、交絡因子の調整に大きな違いがあった。
■ 全体としてのrandom-effectsリスクの推定値は、黒色カーボン(BC)が 0.5 × 10- 5 m-1増える毎に1.08 (1.03, 1.14)、二酸化窒素(NO2)は4 μg/m3増える毎に1.05 (1.02, 1.07) 、酸化窒素(NOx)は30 μg/m3増える毎に1.48 (0.89, 2.45) 上昇した。
■ さらに、PM2.5 1μg/m3増える毎に1.03(1.01、1.05)、PM10 2μg/m3増える毎に1.05(1.02、1.08)リスクが上昇した。
結局、何がわかった?
✅研究ごとの方法の違いが大きいものの、交通汚染物質(黒色カーボン、二酸化窒素、酸化窒素、PM2.5、PM10)が増えるほど、喘息発症リスクは上昇した。
交通汚染物質(TRAP)が増えるほど、小児喘息は発症するリスクがあがる。
■ 本研究は、黒色カーボン、NO2、PM2.5、PM10曝露と喘息発症のリスクに統計的に有意な関連を示したとまとめられます。
■ 当たり前といえば当たり前の結果にも思えますが、メタアナリシスになりますので、今後も参考にされそうなデータです。
■ 一方で、大気汚染はそのままアトピー性皮膚炎には影響は証明されず、天候などのほうに強く影響されることも以前ご紹介いたしました。
今日のまとめ!
✅交通汚染物質は、小児喘息発症リスクを上げる。