Thostesen LM, et al. Neonatal BCG has no effect on allergic sensitization and suspected food allergy until 13 months. Pediatr Allergy Immunol 2017. [Epub ahead of print]
BCG接種がその後のアレルギーを減らすかもしれないという報告がある。
■ BCGは、結核防御のみならず様々な物質を含み、“non-specific effects”があるという報告があります(journal of the British Society for Allergy and Clinical Immunology. 2000;30(5):644-50.)。
■ 今回は、新生児期のBCGがアレルギー発症に影響するかどうかを検討した報告をご紹介いたします。
■ 昨日に引き続き、Abstractのみでの記載になります。皆様、問題ないでしょうか? わたくしの時間不足のため、しばらくはAbstractのみでの記載が増える予定ですが、、、。あと、見出しを少し変えました。ご意見などをお待ちしております。
結局、何を知りたい?
✅新生児期のBCG接種が、生後13ヶ月までの食物アレルギーに関係するかを知ろうとしている。
生後7日以内の児をBCG接種群と非接種群にランダム化。その後のアレルギーを確認した。
背景:
■ BCGによる予防接種がは、結核に対する防御として、多くの国で使用されている。
■ いくつかの研究は、BCGが非特異的な効果がある可能性があり、非結核死亡率、罹患率、アトピー性徴候を減らすことを示唆した。
■ 本研究において、我々はアレルギー感作における新生児に対するBCG接種の効果を評価し、生後13ヵ月時点での食物アレルギーを推測した。
方法:
■ デンマークにおけるCalmette Studyは、デンマークの3病院で2012-2015年に実施された。
■ 出生7日以内に、母体4184人からの新生児4262人は、BCG群と非介入群に1:1にランダム化された。
■ 除外基準は、妊娠期間32週未満、出生時体重1000g未満、既知の免疫異常、デンマーク語を話さない保護者であった。
■ その後の情報は、生後3ヶ月と13ヵ月に、電話インタビューを使用して集められた。
■ 参加者のサブグループは、生後13ヵ月時点で血液サンプルが収集された。
結果:
■ 生後13ヵ月において、BCG群の5.6%(2089人中117人)と対照群の6.1%(2061人中126人)は、両親および/または一般医によって食物アレルギーが疑われ、対照群と比較したBCGワクチン接種を受けた小児のリスク比は0.91(95%CI 0.71~1.16)だった。
■ 血液サンプル1370例において、感作(Phadiatop Infant >0.35kUA/l)はBCG群の743人中55人(7.4%)、対照群の627人中50人(8.0%)だった(リスク比 0.94; 95%CI 0.65~1.36)。
結論:
■ このランダム化比較試験では、新生児のBCGは、食物アレルギー疑いに対し、もしくは生後13ヵ月時点での感作において有意な影響を及ぼさなかった。
結局、何がわかった?
✅生後1週間以内のBCG接種は、生後13ヶ月時点での食物アレルギーの疑いや、感作率には影響しなかった。
新生児期のBCG接種はその後のアレルギー発症に関係なかった。
■ BCGに関して、冒頭にはいわゆる本邦で実施される、いわゆるハンコ注射の写真を提示しましたが、海外は一般的な注射製剤になります。
■ BCG接種は、BCGのみではなく多種の物質が含まれた予防接種であり、アレルギーの予防効果があるのではないかという報告がありました。いわゆる衛生仮説としての考え方と言えましょう。
■ 今回の報告では否定されていますが、さらに検討を要する分野と思います。
今日のまとめ!
✅新生児期のBCGは食物アレルギーを予防しなかった。