Sung M, et al. An association between periostin levels with the severity and chronicity of atopic dermatitis in children. Pediatr Allergy Immunol 2017.[Epub ahead of print]
ペリオスチンとアレルギー疾患の関係。
■ ペリオスチンは、線維芽細胞または上皮細胞で産生される細胞外マトリックスタンパク質で、これまでの喘息の診断や、アトピー性皮膚炎の内因性・外因性に関与することをご紹介してきました。
血清ペリオスチン値はアトピー性皮膚炎の重症度・内因性外因性の判断に有用である
■ 今回は、ペリオスチンがアトピー性皮膚炎の慢性化の指標になるのではないかという結果です。
アトピー性皮膚炎児136人と、アレルギー疾患のない59人で検討。
背景:
血清ペリオスチンは、Th2型アレルギー疾患のバイオマーカーである可能性がある。本研究の目的は、小児における血清ペリオスチン濃度とアトピー性皮膚炎(AD)の重症度と慢性化との関係を調べることである。
方法:
■ この集団ベースの調査では、2015年6月から2015年7月まで、4歳から13歳までの4076人の小児が対象となった。
■ 4076人のうち、AD既往歴のあるAD群136人と、アレルギー疾患のない59人が健常対照群(healthy control ;HC群)として、196人が検討対象となった。
結果:
■ 血清ペリオスチン値は、AD群ではHC群よりも高く(P <0.001)、SCORADと正の相関があった(Spearman's rho [r] = 0.24、P = 0.001)。
■ AD発症時期が2歳未満の児は、AD発症時期が2歳以上の患者と比較して、有意にペリオスチン値が高かった(P = 0.030)。
■ 好酸球(P = 0.189)およびIgE値(P = 0.140)は、AD発症時期が2歳未満の小児とAD発症時間が2歳以上の小児とで同等だった。
■ 年齢、性別、および親のアレルギー歴で調整した後も、血清ペリオスチン値は、発症年齢が2歳未満の小児におけるAD発症に関係した(OR 1.03,95%CI 1.00〜1.06、P = 0.046)。
結論:
■ 血清ペリオスチン値は、小児ADの重症度および慢性化に関与する可能性がある。
結局、何がわかった?
✅血清ペリオスチンは、小児アトピー性皮膚炎の重症度と相関した。
✅血清ペリオスチンは、血中好酸球や総IgE値より、慢性化の指標となりそうだった。
血清ペリオスチンはアトピー性皮膚炎の慢性化の指標となるかもしれない。
■ ペリオスチンがアトピー性皮膚炎の慢性化の指標になる可能性があることは、佐賀大学の研究グループから報告されていました。
■ しかし、日臨床として慢性化に関する指標は、十分な報告はありませんでしたので、有用と言えるでしょう。
■ しかし、他にも多くのバイオマーカーもありますので、検討をすすめていただきたいと思います。
■ PECOなしでabstractのみの記事だとかなり時間が節約されますが、読み込みも浅くなりますね、、感想をお待ちしております。
エキスパートが答える! アトピー性皮膚炎Q&A 55 ( )
今日のまとめ!
✅血清ペリオスチンを慢性化の指標とできるかもしれないが、他のバイオマーカーとの比較も必要そうだ。