Jartti T, et al. Short- and long-term efficacy of prednisolone for first acute rhinovirus-induced wheezing episode. J Allergy Clin Immunol 2015; 135:691-8.e9.
初回喘鳴から全身性ステロイド薬を使用するかどうかで、その後の経過に差はあるか?
■ 夏休み中ですが、来月までに喘息に関する論文を多く読まなければならない事情もあり、勉強中です。
■ 初回ライノウイルス感染に対するプレドニゾロン投与が、予後に影響するかを確認した検討(Koistinen A, et al. Prednisolone for the first rhinovirus-induced wheezing and 4-year asthma risk: A randomized trial. Pediatr Allergy Immunol 2017.)を読もうとしたら、先行文献で同様のクリニカルクエスチョンをみた検討がJACIにありました。
■ 結局は長期予後の期間のようですが、先行したJACIはすでに全文がフリーで確認できることもあり、先にJACIから確認することにしました。
結局、何を知りたい?
✅子どもの初回喘鳴は、ライノウイルス感染に伴うものが多いが、初回の喘鳴時に全身性ステロイド薬を使用したほうが、喘鳴を繰り返さない、もしくは発症しにくいということはないかということを知ろうとしている。
2歳未満で初めて喘鳴を起こした子どもに、ステロイド薬を4日間内服させ、1年間の経過を確認した。
背景
■ ライノウイルスによって誘発された喘鳴は、再発性喘鳴の重要な危険因子である。
■ ライノウイルス誘発性喘鳴患者における全身性ステロイド薬の効果におけるランダム化比較試験はない。
目的
■ 我々は、小児における急性で、中等度〜重度のライノウイルス誘発性喘鳴発作の初めてのプレドニゾロン治療における、短期および長期の効果を調査した。
方法
■ PCRにより鼻咽頭吸引液からライノウイルスを確認した後、初めての喘鳴エピソードがあった3~23ヵ月の小児79人は、経口プレドニゾロン(初回 2mg/kg⇒ 2mg/kg/d×3日間/分2 )もしくはプラセボを処方された。
■ この研究は、12ヵ月のフォローアップ期間中を通して二重盲検が守られた。
■ プライマリアウトカムは、長期間であり、2ヵ月以内の医師に診断された新しい喘鳴エピソード、12ヵ月以内の医師に診断された喘鳴エピソード回数、12ヵ月以内の喘息症状に対する定期的なコントローラ薬物治療の開始だった。
■ 一次次相互作用解析は、ライノウイルス負荷を調査された。
結果
■ 74例(平均年齢13ヵ月;アトピー性28%)は本研究を完了した。
■ 長期のアウトカムは、群間で有意差はなかった(すべてP≧.30)。
論文から引用。1年間の再発性喘鳴までの期間に有意差なし。
■ 短期のアウトカムにおいて、プレドニゾロン群は、2週以内の自宅での咳嗽、鼻汁、雑音のある呼吸、重篤な呼吸困難、夜間の呼吸器症状が少なかった(すべてP < .05)。
■ 7000copies/mL以上のライノウイルスが検出された25人は、プラセボと比較して2か月と12ヵ月以内に医師に診断された喘鳴の再燃のリスクがより少ない点において、プレドニゾロンから利益を得た(両方ともP < .05)。
論文から引用。ライノウイルスの検出量が多いと、全身性ステロイド薬による再発性喘鳴の予防効果が認められる。
結論
■ プレドニゾロンは、急性かつ中等度から重度の初回のライノウイルス誘発性喘鳴を発症した全ての小児に対してルーチンには推奨出来ないが、ウイルス量が多いサブグループには有益かもしれない。
結局、何がわかった?
✅2歳未満の風邪による初回喘鳴に対し、ステロイド薬を内服しても再発性喘鳴の頻度や再燃までの期間に影響しない。
✅しかし、風邪の原因であるライノウイルスが多い場合は、ステロイド内服により再燃を減らす可能性はある。
ライノウイルスは風邪の原因として最も多いウイルスであり、喘息発作のきっかけになりやすいことが分かっています。
■ 実際にライノウイルスを日常診療で検出することは困難ですが、4日間のステロイド内服に効果があるのなら、考えてもいいかもしれません。
■ ライノウイルスに対するワクチンも考えられているようですが、まだまだ先は長いようです。
■ 最近、さらに4年間みた検討が発表されましたので、それも後日お示ししたいと思います。
今日のまとめ!
✅小児の初回の喘鳴に関し、ライノウイルス量が多い場合は、ステロイド内服が予後を改善する可能性がある。