本邦でも免疫療法が見直されてきています。
■ 今、夏休み中で更新が遅れました。明日は更新しないと思いますが、明後日は更新するつもりです。
■ さて、最近、舌下免疫療法が将来の喘息発症は減らさないものの喘息症状をを予防するかもしれないという報告をご紹介いたしました。
■ 喘息自体にも、ランダム化比較試験で発作予防に役立つ可能性があることも示されています。
■ 今回は、免疫療法が喘息発作を減らすかどうかに関するメタアナリシスです。
Dhami S, et al. Allergen immunotherapy for allergic asthma: a systematic review and meta‐analysis. Allergy 2017.[Epub ahead of print]
喘息に対する免疫療法の効果を調べた98研究を検討した。
背景
■ アレルギー性喘息に対するアレルゲン免疫療法(Allergen Immunotherapy;AIT)における、欧州アレルギー免疫学会(EAACI)ガイドラインの発展を周知するために、AITの効果、費用効果、安全性に対するエビデンスを評価した。
方法
■ 9つのデータベースの検索によるシステマティックレビューを実施した。
■ この研究は、事前に定められた適格基準においてスクリーニングされ、確立された方法を用いて批判的に吟味された。
■ メタ分析を用いてデータを合成した。
結果
■ 98研究が基準を満たした。
■ 短期の症状スコアは、標準化平均差(SMD)が1.11(95%CI 1.66-0.56)減少した。
■ これは、あらかじめ特定された感度分析に対して強く示されたが、出版バイアスがある可能性を示唆するエビデンスがあった。
■ 短期間の薬物スコアは、SMD 1.21(95%CI 1.87-0.54)低下したが、潜在的な出版バイアスのエビデンスもあった。
■ 短期間の併用薬物および症状スコアの改善は認めなかったが(SMD 0.17(95%CI 0.23-0.58)、1件の研究で有益な長期効果が示された。
■ セカンダリアウトカムに関し、皮下免疫療法(SCIT)はQOLを改善しアレルゲンに対する気道過敏性(AHR)を低下させた。しかし、舌下免疫療法(SLIT)では認めなかった。
■ 喘息コントロール、増悪、肺機能、非特異的AHRに対しては一貫した効果は認めなかった。
AITは有害事象(AE)のリスクを中程度上昇させた。
■ 比較的まれではあるものの、全身性の有害事象(AE)はSCITでより頻繁であった。
■ 死亡例は報告されなかった。
■ 費用対効果に関するエビデンスは限られていたが、主に舌下免疫療法(SLIT)で利用可能であり、SLITが費用効果が高いと示された。
結論
■ AITは、アレルギー性喘息における短期間の症状および薬物スコアにおける改善を達成する。
しかし、それは全身および局所AEのわずかなリスク上昇と関連している。
■ セカンダリアウトカム、長期的な有効性、費用対効果に関しては、より多くのデータが必要とされる。
結局、何がわかった?
✅免疫療法は、短期間の症状・薬物スコアを改善した。
✅舌下免疫療法より皮下免疫療法の方が副反応が多いく、舌下免疫療法の方が費用対効果に優れていた。ただし、セカンダリアウトカムは皮下免疫療法の方が優れていた。
舌下免疫療法の方が、皮下免疫療法より安全性や費用対効果に優れるが、効果は低いかもしれない。
■ 免疫療法はダニ・スギのみ舌下免疫療法が本邦でも使用できるようになっています。喘息に関して実施はされていないでしょうけれども、今後使用できる製剤が増えるといいですね。