Kwak BO, et al. Relationship between iron deficiency anemia and febrile seizures in children: A systematic review and meta-analysis. Seizure 2017; 52:27-34.
鉄欠乏性貧血も熱性けいれんも、子どもに多い疾患のひとつです。
■ 鉄欠乏性貧血は、成長著しい小児期にはよく見られ、特に母乳栄養児に多いという結果が得られています(Clark KM, et al. J Pediatr 2017; 181:56-61.)。
■ 教科書的には神経発達に影響するとされていますが、今回は、鉄欠乏性貧血が熱性けいれんのリスク因子になるのではないかという報告をご紹介いたします。
■ なお、現在のガイドラインは以下のリンクからどうぞ。
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/febrile_seizures/febrile_seizures.pdf
鉄欠乏性貧血と熱性けいれんの関連を検討した論文17本によるメタアナリシス。
目的
■ 小児期における鉄欠乏性貧血(IDA)と熱性けいれん(FS)との関連は、さまざまな研究で報告されたが、矛盾した結果のために決定的ではない。
■ 小児のIDAとFSの関連性を確認するために、システマティックレビューとメタアナリシスを行った。
方法
■ 2015年8月までに発表された研究に対し、PubMed、EMBASE、Cochrane Libraryデータベースを検索した。
■ pooled OR(オッズ比)および95%信頼区間(CI)は、標準的なメタ解析を用いて計算し、サブグループ解析も行った。
結果
■ 熱性けいれん(FS) 2416人とコントロール 2387人を含む合計17研究が、メタアナリシスに含まれた。
■ 結果として、鉄欠乏性貧血(IDA)がFSと有意に関連していることが示された(OR 1.98; 95%CI 1.26-3.13; P = 0.003)。
論文から引用。
小児における鉄欠乏性貧血と熱性けいれんとの関連についてのメタアナリシス。 ランダム効果モデル(A)、感度分析(B)、累積分析(C)のフォレストプロット。ダイヤモンドは各研究の効果の大きさを示し、各研究の重さに比例する。
■ サブグループ解析において、IDAの診断指標である血清鉄、血漿フェリチン、平均赤血球体積(MCV)が評価された。
■ 結果は血漿フェリチン(OR 3.78; 95%CI 1.80-7.94; P < 0.001)やMCV(OR 2.08; 95%CI 1.36-3.17; P=0.001)に基づき診断されたIDAはFSと中等度に関連することが示された。
■ しかし、血清鉄に基づき診断されたIDAはFSと関連していなかった(OR、0.57; 95%CI、0.24-1.37; P=0.210)。
結論
■ 鉄欠乏性貧血(IDA)は、小児熱性けいれん(FS)のリスク増加と関連していることが示された。
結局、何がわかった?
✅鉄欠乏性貧血は、熱性けいれんのリスクを1.98倍にする。
✅血清フェリチンやMCVが参考になったが、血清鉄は参考にならなかった。
鉄欠乏性貧血は、熱性けいれんのリスクになり得る。
■ 普段の診療で、鉄欠乏性貧血と熱性けいれんの関連には気づいていませんでした。
■ 血清鉄より、MCV(赤血球の平均的な大きさ)やフェリチン(貯蔵鉄の指標)に相関するというのも興味深いですね。
■ 熱性けいれんを繰り返す患者さんに関しては、気をつけてみていくべきかなと思いますし、憤怒けいれんに鉄剤が効果がある場合もあるようです(J Child Neurol 2002; 17:337-340)。
今日のまとめ!
✅鉄欠乏性貧血は、熱性けいれんのリスクになる。