Fleming L, et al. The burden of severe asthma in childhood and adolescence: results from the paediatric U-BIOPRED cohorts. Eur Respir J 2015; 46:1322-33.
重症喘息のお子さんのQOLに関する報告。
■ この記事がUPされたころは、またもや当直の真っ最中です。当直の翌日も普通に外来をしなければならないのは、多くの小児科医の先生と同様かと思いますので愚痴はいえません。でも、これから2か月間の予約患者数を電子カルテで集計すると、少ない先生に比較して余裕で2倍以上、、ばっちりトップ。うーん、ヘビーだ。患者さんのQOLの論文を紹介するひとのQOLが低いという矛盾(-_-;)。
■ さて、喘息のシーズンも超えてきたかなというじきではありますが、一時多くUPした重症喘息に関する話題です。だいぶん前に読んだのですが、少し難しい内容だったので、あまり皆さん興味がないかな、、と思い、後回しにしていました。
重症喘息児99名と重症喘鳴児81名を、軽症/中等症の喘息児49人と軽症/中等症喘鳴児53名と比較した。
■ U-BIOPREDは、従来のおよび革新的なシステム生物学アプローチを使用し、小児科のおよび成人の重篤な喘息の特性を表すことを意図している。
■ 重症喘息のある就学年齢児99名と重症喘鳴のある児81名を、軽症/中等症の喘息児49人と軽症/中等症喘鳴児53名と比較した。
■ 高用量に治療にもかかわらず、重症群は、軽症/中等症と比較して重症の増悪を示した(年齢中央値:3.0 vs 1.1、就学前3.9 vus 1.8; p <0.001)。
■ 受動喫煙曝露は、重症喘息郡において一般的だった。
■ 各群ほとんどすべての参加者はアトピー性皮膚炎であり、正常なBMIだった。
■ Paediatric Asthma Quality of Life Questionnaire (PAQLQ) や、Paediatric Asthma Caregiver's Quality of Life Questionnaire (PACQLQ)で評価された喘息関連QOLは、重症喘息群でより悪かった(就学児 PAQLQ: 平均4.77±0.15 versus 5.80±0.19; 未就学児 PACQLQ: 平均4.27±0.18 versus 6.04±0.18; both p≦0.001)が、軽症/中等症群もまた、有意に病的な状態であった。
論文から引用。就学児も未就学児も、重症喘息であるほうがQOLが低い。
■ QOLの障害は、コントロール不良と気道閉塞と関連していた。
■ それ以外の場合は、重症群と軽症/中等症群は、臨床的には非常に似通っていた。
■ 就学前の重症喘鳴児または重症の喘息児は、通常、アトピー型であり、コントロール不良もしくは気道閉塞(成人喘息とは異なるフェノタイプ)に関連してQOLが低下する。
■ これらの小児の詳細なフェノタイピングは、臨床データと高度なバイオマーカーと統合し、臨床的なマネージメントを改善・修正するのを助けるかもしれない。
結局、何がわかった?
✅コントロール不良の喘息児は、一般にアトピー型であり、気道閉塞も併せて、生活の質が有意に下がる。
重症喘息のお子さんの喘息コントロールはとても重要。
■ 本邦では、喘息で亡くなるお子さんは大幅に低下しました。
■ しかし、そのQOLはまだまだ満足できるものではありません。とくに、重症喘息のお子さんの症状コントロールは困難であることは十分わかってはいるものの、その治療アプローチをあきらめてはいけないと改めて思いました。
■ きちんとした説明や、喘息コントロールのアプローチを続けるには、外来の時間を割く必要があります。患者さんのQOLの向上のための戦いの日々は、まだまだ続きそうです。
今日のまとめ!
✅重症喘息の症状コントロールはとても重要。思った以上にQOLが下がっている可能性がある。