乳幼児期の診断とダニアレルギーの関連が注目されています。
■喘息は子どもに多い長引く病気す。
■東京の3歳時調査をみると、近年やや減少しつつありますが、それでも少なくありません。
■そしてドイツの報告では、最近20年で患者が増えているそうです。
Weber A, Herr C, Hendrowarsito L, et al. No further increase in the parent reported prevalence of allergies in Bavarian preschool children: results from three cross-sectional studies. Int J Hyg Environ Health. 2016; 219(4): 343-348.
■しかし、乳幼児期に喘息を見つけるのはおもったよりも難しく、その後の症状の予測も簡単ではありません。
■そしてハウスダスト中のダニへの感作(アレルギー反応)は、喘息が続くかどうかを予測するのに役立ちます。
■そのようななか、最近、アレルギーがない子供とダニアレルギーがある子供の気管支の過敏性の変化に関する報告がありました。
※ダニアレルギーがあるとだめ、と言いたいわけではなく、より対策を考慮する必要があるかもしれないという報告です。
Donath H, Klenner H, Hutter M, Meoli A, Trischler J, Schulze J, et al. Severe bronchial hyperresponsiveness along with house dust mite allergy indicates persistence of asthma in young children. Pediatric Allergy and Immunology 2023; 34:e14047.
フランクフルトの小児病院で、幼児4850人の医療記録をレビューし、110人はダニ感作がなく(グループ1;中央値4.3歳、範囲2.9~6.9歳)、88人はダニ感作があり(グループ2;中央値4.7歳、範囲3.1~6.7歳)、メサコリン誘発試験(MCT)、皮膚プリックテスト、呼気中一酸化窒素(eNO)値などを検討した。
背景
■ 喘息が後年まで持続する主要なリスクファクターに、アレルギー疾患の家族歴、早期のアレルゲン感作、気管支過敏症(bronchial hyperresponsiveness; BHR)がある。
■ そこで、アレルギー感作がない幼児とダニアレルギー(house dust mite allergy; HDM)を持つ幼児におけるBHRの変遷を調査した。
方法
■ この研究はレトロスペクティブ解析であり、2005年から2018年に喘息または喘息様気管支炎を発症した幼児4850人の電子カルテを分析した。
■ メサコリン誘発試験(methacholine provocation tests; MCT)により少なくとも1回BHRを評価された6歳以下の患者1175人を対象とした。
■ フォローアップ測定が2回以上あった患者を、アレルゲン感作がない第1群(110人)とHDMアレルギーのある第2群(88人)に分け、皮膚プリックテスト、呼気中一酸化窒素(eNO)、喘息治療を分析した。
結果
■ 中央値4.3歳の第1群47人と中央値4.7歳の第2群48人は初期に重症のBHR(0.1mg未満)があった。
■ 追跡調査で、HDMアレルギー患者は非感作患者に比べ重症BHRの持続が有意に高かった(重症BHR第1群:5人(10.6%) vs. 第2群:21人(43.8%); p<0.001)。
■ また、第1群の89.4%が軽度から中等度のBHRまたはBHRがなかったのに対し、第2群では56.2%だった。
■ 最終フォローアップ時のeNOにおいても、第1群は中央値9ppbに対して第2群は26ppbと有意差が見られた(p<0.001)。
■ 年齢、性別、喘息治療はBHRには影響しなかった。
結論
■ アレルギー感作がない幼児ではBHRが正常化する傾向にあるが、HDMアレルギーを持つ幼児では乳児期を越えて喘息の持続が示唆される。
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