小児期の気管支喘息は寛解するか?
■ 小児期の気管支喘息に関し、「重症の場合は」寛解が少ないのではないかというメルボルンスタディという長期間のコホート研究があります。
■ さらに、小児期の呼吸機能低下は、その後のCOPDの発症予測因子になるという結果もあります。
■ そこで今回は、小児期の喘息に関し、特に呼吸機能が低い場合には喘息の改善が少なくなるのではないかというコホート研究の結果をご紹介します。
Wang AL, et al. Remission of persistent childhood asthma: Early predictors of adult outcomes. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2018.Epub ahead of print]
喘息患児879人(8.8±2.1歳)の、成人までのぜん息が寛解する因子を検討した。
背景
■ 北米における成人期早期までの喘息寛解の予測因子に関するデータはほとんどない。
目的
■ 成人の喘息寛解の予測因子は、軽症から中等症の小児持続性喘息患者の他民族の集団において確定した。
方法
■ 成人早期の喘息寛解に関し、2つの定義、すなわち臨床的定義と厳密な定義を使用して評価した。
■ どちらの定義も、正常な肺機能と無症状、増悪、薬物使用を含んだ。
■ 厳密な定義には、正常な気道反応性も含まれた。
■ 予測変数は、多変量ロジスティック回帰を使用して、試験開始時の23の測定値から識別された。
■ 決定木分析を用いて寛解確率をモデル化した。
結果
■ 参加者879人の試験開始時における年齢は8.8±2.1歳(平均±SD)であり、男児59.4%、白人68.7%だった。
■ 成人までに、参加者879人のうち229人(26.0%)が臨床的定義による寛解期にあり、参加者741人のうち111人(15.0%)が厳格な定義による寛解期にあった。
■ FEV1 /努力肺活量(FVC)比の障害の程度は喘息寛解の最大の予測因子だった。
■ 試験開始時のFEV1 / FVC比が90%以上である男児の半数以上、女児の3分の2以上が成人期に寛解した。
■ 気道反応性の低下もまた、両方の寛解の定義(臨床的な定義による寛解のオッズ比 1.23 [95%CI 1.09-1.39];厳密な定義による寛解のオッズ比 1.52 [95%CI、1.26-1.84])の予測因子だった。
■ 試験開始時のの正常なFEV1 / FVC比、気道反応性、血液中好酸球数の組み合わせにより、成人期までに寛解の可能性は80%を超えた。
結論
■ 小児の持続性喘息患者の多くが、成人期までに寛解期を迎える。
■ 試験開始時の肺機能を含む喘息寛解の臨床的な予後の指標は、早期から確認できる。
結局、何がわかった?
✅ 平均8.8歳に登録された小児気管支喘息患者は、成人までに229人(26.0%)が臨床的定義による寛解期にあり、参加者741人のうち111人(15.0%)が厳格な定義による寛解期に達していた。
✅ FEV1 /努力肺活量(FVC)比の障害の程度は喘息寛解の最大の予測因子であり、試験開始時のFEV1 / FVC比が90%以上である男児の半数以上、女児の3分の2以上が成人期に寛解した。
小児期の呼吸機能の状態が、その先の喘息の寛解に強く関連するようだ。
■ この結果は、早期の治療開始がいいかどうかを示していないかも知れませんが、喘息発作の反復が気道のリモデリングを起こす可能性が指摘されている以上、やはり早期治療が重要な印象を持ちます。
今日のまとめ!
✅ 小児期の呼吸機能状態は、喘息の寛解予測因子になる。