Jutel M, et al. International consensus on allergen immunotherapy II: mechanisms, standardization, and pharmacoeconomics. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2016; 137:358-68.
アレルゲン免疫療法のコンセンサス。
■ アレルゲン免疫療法(allergen immunotherapy;AIT)は、唯一の根治療法として、注目を集めています。
■ 十分な国際的な標準化(どこでも同じように行う事ができるようにマニュアル化する)が行われているわけではないため、国際的なコンセンサスを決めていく動きがあるようです。
■ 2016年のレビューですが、包括的なコンセンサス声明があったのでご紹介いたします。
Abstractと表・図のみ示します。
Abstract
■ このレビューは、アレルゲン免疫療法(allergen immunotherapy;AIT)に関する包括的な国際コンセンサス(ICON)の声明を述べている。
■ このAITに関する最初の記事は、最近、雑誌に発表された。
■ 以下の結論は、AITにより誘導される寛容の主要なメカニズム、アレルゲンの標準化の要件、AITに対する費用対効果、規制ガイダンスに焦点を当てている。
■ 将来の方向性に加えて、AITを使用する潜在的な障壁やファシリテーター(手助けとなるもの)が記載されている。
■ 欧州アレルギー臨床免疫学アカデミー( European Academy of Allergy and Clinical Immunology)、アレルギー喘息および免疫学の米国アカデミー(American Academy of Allergy, Asthma & Immunology)、米国大学アレルギー喘息および免疫学(American College of Allergy, Asthma and Immunology)、世界アレルギー機構(World Allergy Organization)を代表する国際アレルギー専門医は、既存の文献を批評的にレビューし、最良のAITプラクティスのためのこの勧告の要約を作成した。
■ 著者らは、ここに提示されたステートメントについても同様に関与しコンセンサスに達した。
図や表のみ示します。
図1A AITにおける細胞や分子の変化。
自然免疫応答物質の存在下でのナイーブT細胞の分化を示す。ナイーブT細胞は、TH1、TH2、TH9、TH17、TH22 T細胞に分化することができる。それらのそれぞれのサイトカインプロファイル、ケモカインに対する応答、および他の細胞との相互作用に基づいて、これらのT細胞サブセットは、一般的な炎症に寄与する。TH1やTreg細胞数の増加は、他のエフェクター細胞とのバランスをとる役割を果たす。アレルゲン特異的エフェクターT細胞(特にTH2細胞)とIL-10産生Treg細胞との間のバランスは、アレルギー性炎症の発症または抑制に働く。Treg細胞およびそれらのサイトカインは、TH2型免疫反応を抑制し、いくつかの方法でアレルギー疾患の制御に寄与する。同様に、IL-10産生Breg細胞の誘導は、IgEの抑制およびIgG4の誘導において必須の役割を果たす。
図1B
末梢ILC、特にILC2の抑制は、TH2抑制およびAITによって誘導される免疫寛容に寄与する可能性がある。
iNKT:不変ナチュラルキラーT; TSLP、胸腺間質リンパ球ポエチン。
図2 急速脱感作。
脱顆粒における肥満細胞と塩基好性の感受性の非常に減少が、初期から観察される。AITの際に、アナフィラキシー(ヒスタミンやロイコトリエン)のメディエーターは、全身アナフィラキシー反応を誘導することなく、放出されている。アレルゲン刺激によるCD63の表面発現の減少により反映されるような、ヒスタミン2型受容体のアップレギュレーションおよびエフェクター細胞機能の低下など、いくつかのメカニズムが提案されている。好塩基球反応の初期の変化は、AITと症状の緩和を予測する。免疫寛容は、TregとBreg細胞数が徐々に増加し免疫寛容を生じる抗体レベルに関わる。AITによって誘導される長期耐性には、メモリーT細胞およびB細胞コンパートメントの変化、TH1 / TH2のシフト、エフェクターおよび構造細胞の機能が関係する。
表2 アレルゲン特異的免疫療法(AIT)のより良く利用するための障壁とファシリテーター(手助けするもの)
* 管理人翻訳
結局、何がわかった?
✅アレルゲン特異的免疫療法(AIT)の国際的なコンセンサスが、公表されている。
✅AITの機序や、利用していくための障壁や助けになるものに関して詳細が述べられた。
アレルゲン免疫療法の今後。
■ 今回は、かなり長いレビューだったので、Abstractと図・表のみの提示でした。ただ、全文がフリーで読めるレビューですので、皆さんもご覧いただければと思います。
今日のまとめ!
✅AITの詳細が述べられ、コンセンサスが発表された。