アナフィラキシーが疑われた226人は、その後原因が特定されたか?

Oropeza AR, et al. Patterns of anaphylaxis after diagnostic work‐up: a follow‐up study of 226 patients with suspected anaphylaxis. Allergy 2017; 72:1944-52.

アナフィラキシーは、詳細な問診や検査でおおむねの診断は確定できますが、、

■ アナフィラキシーそのものは、緊急性もあり、早急に判断したうえで治療が始まります。しかし、結局はアナフィラキシーではなかったという場合も稀に起こりますし、その後、アナフィラキシーの原因ははっきりしない場合もあります。

■ 例えば、夜間救急でアナフィラキシーと診断されたあと、私の外来に受診された時も、稀に原因を明らかに出来ないことがあります。自身の診療能力によるものか、と考えていたのですが、必ずしも全例が明らかにされているわけでもないようです。

 

アナフィラキシーが疑われて救急外来に受診したた226例の患者は、最終的な診断は何だったか?

背景

■ アナフィラキシーに関する多くの研究は、レトロスペクティブもしくは登録ベースの研究であり、以降の精密検査に関するデータは乏しい。

■ そこで、救急医療施設(emergency care setting;ECS)にアナフィラキシーが疑われて受診した患者が、アレルギーセンター(Allergy Center;AC)での診断的診療後の特徴を説明することを目的とした。

 

方法

■ アナフィラキシーを疑われた症例は、患者記録、診断コード、薬物治療における病歴や症状を含む広範囲の検索プロフィールに基づき、連日特定された。

■ アレルギーセンター(AC)では、すべての患者を国際的なガイドラインに従い評価した。

 

結果

アナフィラキシーが疑われた226例の患者のうち、その後、124例(54.9%)で(アナフィラキシーの)診断が確定した

■ 124人中118人が救急医療施設(ECS)においてアナフィラキシーに関するWAA / EAACI基準を満たしており、6人は、臨床的にアナフィラキシーを疑われるが、ECSではWAO / EAACI基準を満たしていなかった46人から選ばれた。

アナフィラキシーの推定発生率は100,000人・年あたり26人であり、1年間の有病率は0.04%と推定された

一般的な原因は、薬物(41.1%)、毒(27.4%)、食物(20.6%)だったが、13人(10.5%)は、原因が特定できなかった

■ 肥満細胞症は成人患者の7.7%に診断され、重症アナフィラキシーと有意に関連していた。

■ アレルギー疾患は、食物によるアナフィラキシーとのみ有意に関連していた。

■ 補助因子(アナフィラキシーを起こりやすくしたであろう原因)は58.1%で存在し、重症アナフィラキシーと有意に関連していた。

 

論文から引用。アナフィラキシーを増強する因子として考えられたもの。感染、NSAIDs(解熱鎮痛剤)、運動、アルコールが挙げられている。

 

結論

■ アナフィラキシー患者の同定および分類には、救急医療施設(ECS)における広範囲の検索と、その後の精密検査が重要である。

■ 併存疾患や補助因子の評価も重要である。

 

結局、何がわかった?

 ✅アナフィラキシーが疑われた患者224例のうち、最終的にアナフィラキシーの診断が確定したのは124例(54.9%)だった。

 ✅原因として、薬物(41.1%)、毒(27.4%)、食物(20.6%)が多かったが、13人(10.5%)は、原因が特定できなかった。

 

 

アナフィラキシーは、1割程度原因がはっきりしない場合がある。

■ この研究では、アナフィラキシーと疑われても、アナフィラキシーでなかった場合があるとされています。アナフィラキシーは診断基準があるとは言え、「緊急」ですから、治療が優先する場合がありますので、ある程度許容される状況と考えていいでしょう。

■ 一方、その後の問診や検査でも明らかにならない場合もあります。

■ 以前、納豆による遅発性アナフィラキシーの経験があります。納豆によるアナフラキシーは小児では珍しい上、半日程度経過してから症状が出現すること、さらに、その患者さんの場合は、納豆が製造から時間が経過していないと発症しないというさらに珍しい方でした。日本語で論文を報告しましたが、いまでも時々引用いただいているようです。

■ 1割とまでは言いませんが、私もなかなか原因を特定できない場合はあります。その場合は、アナフィラキシーに対する対策の上、経過をみながら再燃がないかどうか経過をみています。結局何年も再燃がない場合もあり、どうしても診断がつかない場合もあるのが現状です。

■ 豚肉と猫アレルギーが関連する、クラゲに刺されると納豆アナフィラキシーを起こしやすくなる、、などなど、思いもしない報告が出て来ることもあり、学問はいくら勉強しても足りないなあと思います。

 

 

 

今日のまとめ!

 ✅アナフィラキシーを疑っても、実際にアナフィラキシーの診断が確定するのは半分強であり、最終的な原因が明らかにできない場合も1割程度という結果だった。