Du Toit G, et al. The allergen-specificity of early peanut consumption and the impact on the development of allergic disease in the LEAP Study Cohort. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2017.[Epub ahead of print]
離乳食早期開始による、食物アレルギー予防が注目されています。
■ 当直中です。救急外来の7割が小児になっている状況で、今日は今のところほぼスキマ時間なし。これで明日も仕事とは、、、カラダ持つかなあ。大体、学会前後は当直でサンドされてちょっとした嫌がらせを受けます。遊びに行ってるんじゃあなんだけどな。
■ さて、食物アレルギー予防のために離乳食開始を遅らせない、という方針は、ほぼ共通認識になってきました。
■ その潮流は、ピーナッツを早期に開始するというLEAP研究の報告から始まりました。
ピーナッツを早期に摂取開始したほうがピーナッツアレルギーが減少する(LEAPスタディ)
■ 今回は、LEAP研究の続報で、ピーナッツ早期開始が、その他のアレルギー疾患の発症に影響しているかを確認した結果です。
ピーナッツ早期開始研究であるLEAP研究の参加者において、ピーナッツ早期開始がピーナッツ以外の食物アレルギーやアレルギー疾患の発症に影響しているかを調査した。
背景
■ 重症の湿疹および/または卵アレルギーのあるハイリスクの乳児に対し、ピーナッツの早期導入するというLEAP試験でにより、5歳におけるピーナッツアレルギーが予防された。
■ さらに、LEAP-On Studyにおいてピーナッツ除去を行った12ヶ月後にも予防効果が持続したことが示された。
■ ただし、この利点がアレルゲンおよびアレルギー疾患に特異的であるかどうかは不明である。
目的
■ ピーナッツ早期導入がアレルギー疾患の発症、食物感作・吸入アレルゲン感作に及ぼす影響を評価する。
方法
■ 喘息、湿疹、鼻結膜炎は、臨床評価によって診断された。
■ 質問票により、木の実、ゴマに対する報告されたアレルギー反応および摂取が記録された。
■ 食物および吸入アレルゲンに対する感作は、皮膚プリックテストおよび特異的IgE測定によって決定された。
結果
■ 試験中にわたり、食物や吸入アレルゲンの感作およびアレルギー疾患が高く、増加する負担が認められた。
■ LEAP参加者の76%は、生後60ヶ月時点で少なくとも1種類のアレルギー疾患を有していた。
■ LEAP試験における群間では、アレルギー疾患に有意差はなかった。
■ 調査されたナッツに対する感作やアレルギー反応にはわずかな差があった。
■ 感作レベルはLEAP試験の摂取群で高値だった。
■ LEAP試験の参加者には、湿疹、卵・牛乳に対する感作が有意に改善したが、ピーナッツ摂取による影響は受けなかった。
結論
■ ピーナッツアレルギーのリスクが高い幼児におけるピーナッツの早期摂取は、アレルゲン特異的である。
■ そして、他のアレルギー疾患の発症や、他の食物・吸入アレルゲンに対する感作、またはナッツ類やゴマに対するアレルギー反応を予防しない。
■ さらに、ピーナッツ摂取は、湿疹や卵アレルギーの改善を促進しない。
結局、何がわかった?
✅ピーナッツ早期開始は、他のアレルギー疾患の発症や、他の食物・吸入アレルゲンに対する感作、またはナッツ類やゴマに対するアレルギー反応を予防しなかった。
ピーナッツ早期開始の効果は、ピーナッツアレルギー予防に対する効果のみだった。
■ LEAP研究は、食物アレルギーの予防研究として金字塔といえる報告といえます。
■ そして、論文中にあるLEAP-On研究とはLEAP研究の追加研究です。すなわち、LEAP研究の参加者の方を、5歳から全員1年間ピーナッツを除去していただき、ピーナッツアレルギーが再燃もしくは発症してこないかをみた研究です。
乳児期に早期導入して予防した食物耐性は、中断しても維持される(LEAP-ONスタディ
■ これらの結果からは、少なくとも、「ピーナッツの早期導入は、ピーナッツアレルギーを予防し、再度中断しても概ね維持される」とまとめられるでしょう。
■ しかし今回の検討で、ピーナッツ早期摂取で予防できるのは、あくまでピーナッツアレルギーのみだということになり、それぞれの食物で個別に考えなければならないだろうと言えるともいえます。
■ 例えば、卵に関してはピーナッツと同じようには行かず、ある程度条件を整えなければならないことがわかってきています。
今日のまとめ!
✅ピーナッツ早期導入は、ピーナッツアレルギー予防以外に効果はなく、個別に考える必要性がありそうだ。