Zhu J, et al. Perinatal risk factors for infantile hypertrophic pyloric stenosis: A meta-analysis. J Pediatr Surg 2017; 52:1389-97.
肥厚性幽門狭窄症は、乳児期早期における嘔吐の原因の一つです。
■ 今週は時間がなくて、ざっくりの論文紹介が多いかもしれません。
■ 肥厚性幽門狭窄症は、生後2~3週から生後3ヶ月位までの乳児が嘔吐する原因となります。
■ 硫酸アトロピンによる内科的治療も行われる場合がありますが、一般的には手術が適応になります。
■ その乳児期の肥厚性幽門狭窄症(Infantile hypertrophic pyloric stenosis;IHPS)の発症リスクを検討した報告を御紹介いたします。
肥厚性幽門狭窄症(IHPS)リスクと周産期の要因の関連を、15研究のメタアナリシスで検討した。
背景
■ 乳児肥大性幽門狭窄症(Infantile hypertrophic pyloric stenosis; IHPS)は、乳児期の非胆汁性嘔吐における最も一般的な外科的処置を要する原因である。
■ IHPSの病因は完全には明らかになっていない。
■ したがって、周産期因子とIHPSの発症との関連性を調べるためにメタアナリシスを実施した。
方法
■ ランダム効果モデルを使用し合成したオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を計算した。
■ 2016年12月までのMEDLINE、EMBASE、PubMed、Cochrane Libraryにおける英語で発表された研究を検索した。
結果
■ 15研究がこの検討に含まれた。
■ 第1子(OR 1.19; 95%CI 1.07-1.33)、帝王切開(OR 1.63; 95%CI 1.53-1.73)、早産(OR 1.37; 95%CI 1.12-1.67)、人工栄養(OR 2.46; 95%CI 1.76-3.43)は、IHPS発症と有意に関連していた。
■ これらの中で、人工栄養がIHPS発症の最も重要な危険因子だった。
■ 周産期要因とIHPSとの関連を評価した研究はほとんどないが、周産期イベントに関するデータが後ろ向きで収集されていることや、適切な統計的修正なく複数の仮説の検定を行っているという大きなlimitationがある。
結論
■ 初産、帝王切開、早産、人工栄養は、IHPSの発症に関連している。
■ IHPSの病因の理解のためには、上手に設計されたさらなる研究が必要である。
結局、何がわかった?
✅肥厚性幽門狭窄症の発症は、第1子(OR 1.19; 95%CI 1.07-1.33)、帝王切開(OR 1.63; 95%CI 1.53-1.73)、早産(OR 1.37; 95%CI 1.12-1.67)、人工栄養(OR 2.46; 95%CI 1.76-3.43)と有意に関連していた。
肥厚性幽門狭窄症の鑑別に有用かもしれない。
■ 後ろ向き研究が中心のため確定とは言えません。他にも、マクロライド系抗生剤との関連を指摘した報告もあります。
■ この報告も後日ご紹介したいと思います。
今日のまとめ!
✅肥厚性幽門狭窄症は、初産、帝王切開、早産、人工栄養と有意に関連していた。