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Britton PN, et al. The Spectrum and Burden of Influenza-Associated Neurological Disease in Children: Combined Encephalitis and Influenza Sentinel Site Surveillance From Australia, 2013–2015. Clinical Infectious Diseases 2017; 65:653-60.

インフルエンザ関連脳炎/脳症の発生率はどれくらいか?

■ インフルエンザの流行期に、小児科医はインフルエンザ脳炎/脳症に注意を払う必要性がでてきます。医学が進歩しても、その予後が決して良くないからです。

■ その発生率や臨床像を3シーズンにわたって調査した、オーストラリアの報告をご紹介いたします。

 

オーストラリアのインフルエンザ入院例中7.6%を占める三次小児病院2施設におけるインフルエンザ関連神経学的疾患(IAND)とインフルエンザ関連脳炎/脳症(IAE)を特定し、その臨床像を調査した。

背景

■ 季節性インフルエンザ関連神経学的疾患 (influenza–associated neurological disease; IAND)についての縦断的研究はほとんどなく、南半球からの研究もほとんどない。

 

方法

■ 2013年から2015年までの、Paediatric Active Enhanced Disease Surveillance(PAEDS)ネットワークに編入された2研究、すなわち、インフルエンザ合併症警報ネットワーク(Influenza Complications Alert Network; FluCAN)研究およびオーストラリア小児脳炎 (Childhood Encephalitis; ACE) 研究から、前向きに取得したオーストラリアのサーベイランスデータを抽出した。

■ さらに、インフルエンザ関連脳炎/脳症(influenza-associated encephalitis/encephalopathy; IAE)における臨床像と、小児のIANDの重症度を述べ、IANDとIAEと関連するインフルエンザ入院率と、IAEの発症率を評価した。

 

結果

■ 3回のインフルエンザシーズンにわたり、インフルエンザ入院例中7.6%を占めるオーストラリアからの三次小児病院2施設におけるIAND 54例を特定し、そのうちIAEは10例(入院したインフルエンザの1.4%)だった。

■ オーストラリアの小児(≦14歳)におけるIAEの年間発生率は、平均1000000人中2.8人だった。

■ IANDの病像は幅広く、IAE 10例、明らかな急性脳症症候群/単純の熱性けいれん14例、その他のけいれん 16例、急性運動失調 4例、その他の亜急性症候群(横断性脊髄炎 1例、眼球クローヌス・ミオクローヌス 1例 )が含まれた。

■ IANDの2/3は4歳以下であり、神経学的疾患の既往もしくは重症のインフルエンザに対する他のリスク因子を持っていたのは半数以下だった。

■ IAEは、その半数で、死亡または神経学的病状を生じた。

 

結論

■ 季節性インフルエンザは、オーストラリアの小児における急性神経疾患の重要な原因である。

■ 季節的IANDの病像は、2009年のH1N1パンデミックの時期に述べられたものと同様であり、IAEは、高い病的状態やおよび死亡率と関連している。

 

結局、何がわかった?

 ✅オーストラリアの小児(≦14歳)におけるインフルエンザ関連脳炎/脳症の年間発生率は、1000000人中平均2.8人だった。

 ✅季節性インフルエンザ関連神経学的疾患の2/3は4歳以下であり、神経学的疾患の既往もしくは重症のインフルエンザに対する他のリスク因子を持っていたのは半数以下だった。

  ✅インフルエンザ関連脳炎/脳症は、その半数で、死亡または神経学的病状を生じた。

 

 

インフルエンザ脳炎/脳症は多くはないものの現在でも侮れない病態であり、決して予後は良くないといえます。

■ 今回は抄録しかフリーで読めなかったので、図は紹介しませんでしたが、少なくとも、本検討の中で、脳炎/脳症に罹患した児の中に、予防接種例は0であったことは注目すべきと思います。

”Consistent with other studies, we found that the majority of children with IAE and IAND had not received seasonal influenza vaccination.”

(他の研究と一致して、IAEやIANDに罹患した小児の大多数が季節性インフルエンザワクチン接種を受けていないことを発見した).

と記載されており、注意喚起していると言えましょう。

■ 予防接種がそのまま脳炎・脳症を予防するかどうかは、今回の検討での予防接種数が少ないために検討できていないようですが、重症化を防ぐ可能性は十分あるのではないかと思います。

 

 

今日のまとめ!

 ✅インフルエンザ関連脳炎/脳症の年間発生率は、100万人中平均2.8人だった。

 ✅しかし、その半数で死亡もしくは神経学的後遺症を残す。

 ✅今回の検討では、インフルエンザ関連脳炎/脳症のうち、予防接種をしていた例はなかった(例数が少なく統計学的有意差はなし)。

 

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