タミフルは、症状出現後48時間以上経過しても有効?

Fry AM, et al. Efficacy of oseltamivir treatment started within 5 days of symptom onset to reduce influenza illness duration and virus shedding in an urban setting in Bangladesh: a randomised placebo-controlled trial. The Lancet infectious diseases 2014; 14:109-18.

オセルタミビル(商品名;タミフル)は、症状出現48時間以内に投与開始になっています。

■ タミフルは、インフルエンザの特効薬として広く知られているものの、発熱期間を半日~1日程度短縮させる程度の有効性しかなく、限界も大きい薬剤でもあります。

■ 特に、「発症48時間以内」という治療開始時期は一般の方々でも良くご存知かと思いますが、今回、48時間以上と48時間以内で治療効果を検討したランダム化比較試験を見つけたのでご紹介いたします。

 

年齢が中央値5歳の1190人(発症から48時間未満が67%、発症から48時間以上33%)が登録され、臨床症状・ウイルス分離持続期間、および治療中のオセルタミビル耐性の頻度が検討された。

背景

■ インフルエンザは、世界中で多数の罹患と死亡を引き起こす。

■ ノイラミニダーゼ阻害剤(容易に入手できる唯一のインフルエンザ治療選択肢である)の有効性についてのデータは、特に低所得の環境においてはほとんどない。

■ バングラデシュの都市部の環境において、症状発現から5日以内に治療が開始されたインフルエンザ患者におけるノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビル(商品名タミフル)による治療の有効性に関し、病状やウイルス分離を減少させるかで評価した。

 

方法

■ 2008年5月から2010年12月まで、二重盲検ランダム化比較試験を実施した。

■ バングラデシュのカマラプールで、家庭ごとのサーベイランスで確認された急性インフルエンザ検査陽性の患者は、1:1ベースで無作為に割り当てられ、オセルタミビル vs プラセボを5日間毎日2回投与された。

■ インフルエンザ発症後48時間未満および48時間未満で登録された個体の無作為化リストは、2〜8例の可変置換ブロックで生成された。

■ 参加者および研究スタッフは、治療群にマスキングされた。

■ 参加者は、登録時、2、4、7日後に鼻洗浄検体を採取され、症状を記録するために毎日訪問された

■ すべての検体は、逆転写酵素PCRによりインフルエンザ検査を実施され、陽性であればウイルスを単離した。

■ プライマリエンドポイントは、インフルエンザ発症後48時間未満/以上治療された患者における、臨床症状・ウイルス分離持続期間、および治療中のオセルタミビル耐性の頻度だった。

■ 分析は、別段の指定がない限り、intention to treat で行われた。

■ この試験はClinicalTrials.gov番号NCT00707941に登録されてる。

 

結果

■ 概して、年齢が中央値5歳(IQR 2-9)の1190人、そして、そのうち発症から48時間未満が794人(67%)、発症から48時間以上経過してから396人(33%)が登録された

■ 592人がプラセボに、598人がオセルタミビルに割り当てられた。

症状持続期間の中央値は、オセルタミビル群(3日間、IQR 1-5)であり、プラセボ群(4日、1-6; p = 0.01)よりも短縮された

論文から引用。症状の持続期間。

治療の開始時期によって層別化された場合、発症から48時間以上経過した参加者において、症状持続期間の中央値は両群で同等だった(オセルタミビル群 3日[IQR 2-5]、プラセボ群 3日[1-5]; p = 0.04)。

■ 症状が発症してから48時間未満であった群では、オセルタミビル群はプラセボ群と比較して、症状の持続期間の中央値は1日短縮されたが、この差は有意ではなかった。

全てのスワブ検体がある参加者1134人において、オセルタミビル群はウイルス分離が2日目に有意に減少した(プラセボ群 374人(66%)、オセルタミビル群321人(56%)、差15.2%、95%CI 9.5-20 8、p <0・0001)、4日目(プラセボ群 241人 [43%] vs オセルタミビル群 174人 [30%]、差30.2%、95%CI 24.6-35.8、p <0.0001) 7日目(プラセボ群 68人 [12%] vs 36人 [6%]; 差 47.5%、95%CI 44.2-50.8、p = 0.0009)。

論文から引用。ウイルス分離期間。

■ オセルタミビル治療は、発症から48時間以上経過した参加者における2日目と4日目にウイルス分離を有意に減少させたが、7日目には有意な減少はみられなかった。

■ 治療中のオセルタミビル耐性という緊急事態は全体的にも(1%未満)、インフルエンザA H1N1pdm09ウイルス(3.9%)でも稀であった。

 

結論

■ オセルタミビル治療は、発病後48時間以上経過して合併症のないインフルエンザ感染者においても、症状の持続期間とウィルス分離期間を中程度に短縮させた。

 

結局、何がわかった?

 ✅タミフルは、全体では症状持続期間を1日有意に短縮(log rank p=0.01)。発症48時間以内で開始すると1日症状期間が短縮(log rank p=0.09; 有意差なし)、48時間以上経過してからは同等(log rank p=0.04; 有意差はわずかにあり)。

 ✅タミフルは、全体では2日目、4日目、7日目でインフルエンザウイルスの分離を有意に低下させた。発症48時間以上経過した参加者においても2日目と4日目にウイルスの分離が有意に減少した。

 

 

48時間以上たってからでもタミフルは有効、とは取れるものの、、

■ この報告を最初ざっくり読んだときは、発病後48時間以上経過したインフルエンザでもタミフルが有効なのか、と読めたのですが(結論もそうなっています)、内容をよく見るみると、ちょっと微妙ではないでしょうか?

■ 病悩期間が1日ごとに、その残存率は変わらなくなっていって有意差も低め。状況に応じては使用しても良いになりそうですが、いままでのプラクティスを大きく変えるものではないように思いました。

■ ただ、ウイルス排出期間は少し短くする可能性はあるようです。これは少し意外でした。ただし、こちらも過信するほどでもないようですね。

 

 

今日のまとめ!

 ✅インフルエンザの症状48時間以上経過してからのタミフルは、症状期間の統計上の短縮はあるもののその差は小さい。

 ✅48時間以上経過してからでも、タミフルはウイルス排出期間を短縮することは出来るが、過信するほどではない。

 

スポンサーリンク