Engebretsen KA, et al. Prevalence of atopic dermatitis in infants by domestic water hardness and season of birth: Cohort study. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2017; 139:1568-74. e1.
水の硬度とアトピー性皮膚炎。
■ 以前、アトピー性皮膚炎に対して水の硬度は発症リスクに関連するかもしれないという報告を御紹介しました。
■ 今回は、ただ、本邦はもともと軟水で、必ずしも硬水の報告をそのまま導入はできないはずです。
デンマークの大規模出生コホートに参加した小児 52,950人に関し、生後18ヶ月以内のアトピー性皮膚炎発症と、水の硬度・誕生季節の関連性を調査した。
背景
■ アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis ; AD)は、水が不足しや秋/冬生まれの小児でより一般的であるように見える。
■ しかしながら、相乗効果が存在するかどうかは不明である。
目的
■ 大規模なデンマーク出生コホートにおいて、生後18ヶ月以内のADの発症における、水の硬度と誕生季節の関連性を評価した。
方法
■ デンマーク全国出生コホートに参加した小児 52,950人が含まれていた。
■ 医師が診断したADの病歴および個々の特徴は、インタビューから得られた。
■ 出生データはCivil Registration Systemから得られ、国内の水硬度データはデンマークとグリーンランドの地質調査から得られた。
■ ADの相対有病率(relative prevalence;RP)はlog-linear二項回帰を用いて計算された。
結果
■ ADの有病率は15.0%(7,942 / 52,950)だった。
■ ADの相対有病率(RP)は、水硬度(範囲 6.60-35.90;ドイツの水硬度[118-641 mg / L])が5°増加するごとに5%高くなった(RP trend 1.05; 95%CI 1.03-1.07)。
■ ADの相対有病率(RP)は、秋(RP 1.24; 95%CI 1.17-1.31)または冬(RP 1.18,95%CI 1.11-1.25)出生の小児では高かったにも関わらず、水の硬度とは有意な相互作用は観察されなかった。
■ ADにおける硬水の寄与危険度は2%であった。
結論
■ 家庭の硬水への早期曝露と秋/冬の誕生は、生後18ヶ月以内のADの相対的罹患率の増加と関連していることを見出した。
■ 硬度と秋/冬出生は相乗的な作用はしなかったが、水硬度とADの間に用量反応関係が観察された。
結局、何がわかった?
✅水硬度がが5°増加するごとにアトピー性皮膚炎有病率が5%高くなった(RP trend 1.05; 95%CI 1.03-1.07)。
軟水の中での比較?
■ 水の硬度はカルシウムとマグネシウムで近似されて、硬度120mg/L以下を軟水と定義しているそうです。
■ この検討は、水硬度の範囲が 6.60-35.90と述べられているので、軟水にあたるなかで検討したといえるかもしれません。以前は、軟水だと軟水器を使用する意味はないと思っていましたが、、また考える必要があるかも、、
今日のまとめ!
✅水の硬度は、アトピー性皮膚炎リスクに関連するかもしれない。