
Azad MB, et al. Infant gut microbiota and food sensitization: associations in the first year of life. Clinical & Experimental Allergy 2015; 45:632-43.
帝王切開分娩⇔腸内細菌叢⇔アレルギーの話題、2回目。
■ 昨日、帝王切開分娩の場合の腸内細菌叢の変化に関しての報告をご紹介いたしました。
■ 今回は、帝王切開に関係なく、乳幼児期に食物アレルゲンに感作された児における腸内細菌叢に違いがあるかに関する報告です。
出生コホート研究に参加した乳児166人に関し、1歳時の食物アレルゲン感作と、腸内細菌叢の関連を検討した。
背景
■ 腸内微生物叢は乳児期に確立され、宿主の免疫を形成する上で基本的な役割を果たす。
■ コロニー形成のパターンはアトピー性疾患の発症に影響するかもしれないが、これまでのエビデンスは限られており、相反している。
目的
■ 乳幼児期の腸内微生物叢と食物アレルギー感作の関連を調査する。
方法
■ populationベースのCanadian Healthy Infant Longitudinal Development(CHILD)試験に参加した乳児166人を、皮膚プリックテストにより生後1歳時の食物アレルギー感作を判定した。
■ 糞便を生後3および12カ月に採取し、微生物叢をIllumina 16S rRNAシークエンシングによって特徴付けた。
結果
■ 乳児12人(7.2%)は1歳時に食物アレルゲン感作が1種類以上に認められた。
■ Enterobacteriaceaeは、食物感作された児の腸内微生物叢において、生後3ヶ月および1年で過剰に発現していたが、生後3か月時のみ腸内細菌量はより少なかった。
■ 生後3ヶ月時で細菌量が増加していると、各四分位における1歳時の食物アレルギー感作リスクが55%減少していた(調整オッズ比0.45,95%信頼区間0.23-0.87)。
■ それに独立して、Enterobacteriaceae / Bacteroidaceae比の増加は、各四分位においてリスクが2倍の増加と関連していた(2.02,1.07-3.80)。
■ これらの関連は、経腟分娩の乳児、母乳栄養乳児、抗生物質に曝露されていない乳児における感度分析においても支持された。
■ 食物アレルギー感作された乳児において、1歳時のEnterobacteriaceae / Bacteroidaceae比は上昇したままだったが、Ruminococcaceaeが減少する傾向があった。
結論と臨床的関連
■ 乳幼児期早期の腸内微生物の量およびEnterobacteriaceae/Bacteroidaceae比の増加は、食物感作と関連しており、乳児期早期の腸内細菌の定着が食物アレルギーを含むアトピー性疾患の発症に寄与することを示唆する。
結局、何がわかった?
✅乳幼児期早期の腸内微生物量や、Enterobacteriaceae/Bacteroidaceae比の増加は、食物感作と関連している。
帝王切開は腸内細菌叢の差異を生む。腸内細菌叢の差異は食物アレルゲン感作の差異を生む。
■ 腸内細菌叢の差異が、アレルゲン感作に関与するという報告になります。
■ 昨日は帝王切開が腸内細菌叢の差異を生むという報告、本日は腸内細菌叢の差異がアレルゲン感作を生むという報告です。
■ では、帝王切開分娩は食物アレルギーを増やすでしょうか?明日はそのテーマでの報告をご紹介したいと思います。
今日のまとめ!
✅腸内細菌叢の差異は、食物アレルゲン感作の差異につながるかもしれない。