ウイルス性喘鳴に、ステロイドは有効でしょうか? これまでは有効性に乏しいと考えられてきましたが、、
■ 一般には、乳幼児期のウイルス性喘鳴に対しては、ステロイド内服は喘息でなければ有効ではないと考えられてきました。
■ しかし、Lancetの姉妹紙に、それを覆すような結果が報告されました。
Foster SJ, et al Oral prednisolone in preschool children with virus-associated wheeze: a prospective, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. The Lancet Respiratory medicine 2018; 6(2): 97-106.
ウイルス関連喘鳴を呈した生後24-72ヶ月の小児624人を、内服ステロイド群とプラセボ群にランダム化し、入院期間を比較した。
背景
■ 未就学児にはしばしばウイルス関連の喘鳴のエピソードがあるが、小児喘鳴の増悪に対するステロイドの有効性を評価する研究は確定的ではない。
方法
■ オーストラリア(パース)のプリンセス・マーガレット病院の小児救急部で、ウイルス関連の喘鳴を呈した生後24-72ヶ月の小児に対するプラセボ vs 経口プレドニゾロンの有効性を、非劣性ランダム化二重盲検プラセボ対照試験で比較する。
■ 対象となる参加者は、コンピュータ生成乱数プログラムを用いて、プラセボまたはプレドニゾロン(1mg / kg /日)による介入3日間にランダム化された(1:1)。
■ プライマリアウトカムは、退院準備が整うまでの病院滞在日数だった。
■ プラセボがプレドニゾロンに非劣勢であるという仮説を検証するための解析後、プレドニゾロンがプラセボより優れているという仮説を検証するための、post-hoc解析を実施した。
■ 非劣性を確認するために、10%の非劣性マージンが使用された。
■ 同意が取り下げられた場合、試験薬剤を2回嘔吐した場合、記録が失われた場合には、最終的なITTに基づく有効性分析から除外された。
■ すべての参加者は安全性解析に含まれていた。
■ この試験は、オーストラリアおよびニュージーランドの臨床試験登録番号(ACTRN 12612000394842)に登録された。
結果
■ 2012年6月11日~2015年6月10日までに、3727人が適格性についてスクリーニングを受けた。
■ 適格患者624人をランダム化し、605人(プラセボ群300名、プレドニゾロン群305名)をITT解析に含めた。
■ 退院準備ができるまでの入院期間の中央値は、プレドニゾロン群(370分 [121-709])よりもプラセボ群(540分 [IQR124-971])でより長く、プラセボ群はプレドニゾロン群より劣っていた。
■ 605人に対するpost-hoc優位性分析すると、プラセボ群と比較したプレドニゾロン群の入院期間の幾何平均比は、0.79(95%CI 0.64-0.97; p = 0.0227)。
■ 重篤な有害事象は、本研究またはフォローアップ期間の間に報告されなかった。
■ プラセボ群の1人は、非特異的な斑点状丘疹を発症し、自然に改善した。
■ フォローアップ評価中に2人(各グループから1人)が極度に活動的であると報告された。
解釈
■ 経口プレドニゾロンは、ウィルス関連の喘鳴に罹患し小児救急病院に入院した児の入院期間を短縮するためにプラセボよりも明らかな利点があり、忍容性が良好だった。
結局、何がわかった?
✅ウイルス関連喘鳴を呈した生後24-72ヶ月の小児の入院期間は、プレドニゾロン群(370分 [121-709])よりもプラセボ群(540分 [IQR124-971])でより長かった。
ステロイド内服を使用する前に病歴に注意する必要性があるが、ステロイド内服が入院期間を短縮する可能性がある。
■ 原文には、喘鳴の重篤度が高く、気管支拡張薬を使用していて、喘息の既往がある参加者に特に有用とされていますので、喘息児に対する有効性をみているだけかもしれません。
■ また、「2歳以降」という点にも注意は必要でしょう。
■ ただ、その区別は決して簡単ではありませんから、病歴を十分聴取する必要性があるのだと思います。
今日のまとめ!
✅ウイルス性喘鳴を呈する乳幼児に対する、ステロイド内服は有効かもしれない。