Papamichael MM, et al. The role of fish intake on asthma in children: A meta‐analysis of observational studies. Pediatric Allergy and Immunology 2018.[Epub ahead of print]
ω3系多価不飽和脂肪酸とアレルギー。
■ 魚摂取がアレルギー予防に関連するかもしれないという報告は、いままでもいくつかご紹介してきて、最近メタアナリシスも実施されています。
妊娠中・乳幼児期の魚摂取は、アレルギー疾患を予防するのか?: システマティックレビュー&メタアナリシス
■ その結果としては、湿疹リスクは減らすものの喘鳴リスクの軽減は有意ではなかったというものでした。
■ 今回は、逆に、喘息の予防や管理に魚摂取が有効かもしれないというメタアナリシスです。なお、論文中の「fatty fish(多油魚)」が青魚にあたるもののようです。
小児喘息に対する魚摂取の効果を検討した23研究を調査した。
背景
■ 小児喘息の予防や管理における長鎖ω3脂肪酸の使用についてのエビデンスは矛盾している。
方法
■ 小児喘息に対する長鎖ω3脂肪酸の主な摂取源である魚摂取の役割を検討するため、体系的検索とメタアナリシスを行った。
結果
■ 計1119の出版物が確認された。
■ 小児喘息に対して、魚摂取に関する23研究が最終的なレビューに含まれた。
■ 0~14歳の小児において、23研究中15研究では、魚の早期導入(生後6〜9ヶ月)や定期摂取(週に少なくとも1回)している場合、魚摂取がない場合と比較して喘息症状を改善することを示した。
■ 一方、23研究中0〜 6研究は効果を示唆せず、23研究中2研究は副作用を示唆した。
■ メタアナリシスでは、4歳半までの小児において、”すべての種類の魚”の摂取に対し「現在の喘息(OR 0.75; 95%CI:0.60‐0.95)」と「現在の喘鳴(OR 0.62; 95%CI:0.48‐0.80)」に有効性が示唆された。
■ 一方、8~14歳の小児において、「魚摂取なし」と比較すると、「fatty fish(脂肪の多い魚)」摂取をすると喘息に対する保護作用(OR 0.35; 95%CI:0.18‐0.67)が観察された。
結論
■ このメタアナリシスは、生後6〜9ヵ月からの早期の魚導入と、すべての種類の魚を定期的に摂取(週に少なくとも1回)すると、4歳半までの喘息および喘鳴を減少させることを示唆した。
■ また、脂肪の多い魚摂取は、さらに高い年齢の小児で有効かもしれないことを示した。
■ 今回のメタアナリシスで示された有望な知見を確認するためには、うまく設計された臨床試験が推奨される。
結局、何がわかった?
✅生後6〜9ヵ月からの早期の魚導入し、魚を定期的に摂取(週に少なくとも1回)すると、4歳半までの喘息および喘鳴を減少させる可能性がある。
✅脂肪の多い魚(≒本邦でいうところの青魚)の摂取は、さらに高い年齢の小児でも喘息に有効かもしれない。
魚が喘息に有効かもしれない。
■ 魚がアレルギーに有効かもしれないのは、ω3系多価不飽和脂肪酸(=青魚に多いとされる)の影響かもしれませんし、ビタミンDの影響の可能性もあるでしょう。
ビタミンDは、気管支喘息の増悪を減らすかもしれない:メタアナリシス
■ 妊娠中から魚油を摂取すると、児の喘息発症を減らすというランダム化比較試験もあります。
妊娠中の魚油摂取は、小児期の喘息を減らすかもしれない: ランダム化比較試験
■ もちろん、魚だけで喘息が改善するならば、魚の消費量の多い地域では喘息がすくないという結果になるでしょうけれど、そうはなっていません。ですので、魚のみで喘息治療というのは難しいでしょう。でも、普段から魚を積極的に摂取する生活を心がけたほうがいいとはいえるのかもしれません。
今日のまとめ!
✅魚摂取は、喘息の発症予防や管理に有効かもしれない。