喘息のバイオマーカー~背景と分類~(第1回/全2回)

Berry A, Busse WW. Biomarkers in asthmatic patients: Has their time come to direct treatment? Journal of Allergy and Clinical Immunology 2016; 137:1317-24.

これまでご紹介してきた気管支喘息のバイオマーカー。

■ また、当直中です。いつも土曜日が1日外勤なんですけど、土曜日が祝日となると、すかさず当直を入れられてしまいました。原稿や講演準備をしようにも、これじゃなかなか手が付けられないです、、。じゃあ、ブログなんかやってないで、そっちをしろって?確かに、、。ただ、ブログのおかげで原稿をスムーズに書けていて、結局は普段の積み重ねかなあと思っていて、コツコツすることにしています。

■ さて、それはておき、これまで気管支喘息に対するバイオマーカーに関し、いくつかのレビューや研究報告を御紹介してきました。

生物学的製剤による難治性喘息治療のパラダイムシフト~バイオマーカー(第2回/全3回)

痰中の好酸球や呼気一酸化窒素は喘息増悪のリスクを予測する

【全訳】呼気一酸化窒素(FENO)を喘息診療にどう生かすか?(第1回/全2回)

■ そこで、最近のJACIにバイオマーカーの総論を見つけ、全文がフリーで閲覧できるうえにきれいにまとまっていたので、2回にわけてご紹介いたします。

 

 気管支喘息のバイオマーカーの背景と分類。

背景

■ 喘息は、多様な危険因子および治療に対する反応性を有する複数のフェノタイプを有する不均一な疾患である。

■ 軽症から中等症の喘息は既存の薬物療法によく反応するが、重症喘息は吸入ステロイド、長時間作動性β刺激剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬に対して難治性である。

■ 喘息の様々なフェノタイプについての研究が報告されている。

■ バイオマーカーは、異なる喘息フェノタイプの病態生理を特異的に定義し、潜在的な治療ターゲットを特定するのに役立つ。

■ このレビューは、喘息の診断、重症度の吟味、治療の潜在的な有効性について、現在のバイオマーカーの使用に関して議論する。

■ また、これらの情報は、吸入ステロイドまたは生物学的製剤に反応する可能性のある患者を特定するために使用できる。

 

バイオマーカーとは

■ バイオマーカー、または生物学的マーカーは、器官の機能または他の健康面を検査するために使用される追跡可能な物質である。

■ 医療に使用されるバイオマーカーはまた、基礎疾患の病態生理学、病気の経過および/または治療への反応性に関する情報を提供する。

■ バイオマーカーは、疾患の有無、重症度の定義、経過に関する情報の提供、最も効果的な治療の選択、および/または患者の生存に関する指導の役割を果たす(図1)。

図1。喘息と潜在的バイオマーカーの関係。

■ 現時点で、喘息に対して、このニーズを満たす適切なバイオマーカーがあるだろうか?

 

バイオマーカーの分類

■ バイオマーカーは、恣意的に3種類に分類されている。

■ タイプ0は、疾患の自然経過に関連するマーカーを指す。現在、喘息患者のタイプ0のバイオマーカーは入手できないが、Asthma Predictive Index(API)は、喘息に罹患していない児の疾患リスクにおける有益な指標である。

■ タイプ1のバイオマーカーは、薬物活性を反映するマーカーとして働く。喘息の治療に利用可能な多くの生物製剤で精密医療(precision medicine )が活用されるにつれ、ますます重要性を増している。

■ 最後に、タイプ2のバイオマーカーは、コレステロールなどの代理マーカーを指し、心血管疾患の指標(またはリスク)として働く可能性がある。

■ 喘息は不均一な疾患であり、一部の患者、特に重症の患者では、既存の治療法の有効性は限られている。

■ 喘息患者のある集団におけるバイオマーカーを同定することは可能であり、この情報から、どの治療法が最も効果的であろうかについてのより大きな洞察が得られるだろう。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅バイオマーカーは3種類に分類され、タイプ0は疾患の自然経過に関連するマーカーであり、タイプ1は薬物活性を反映するマーカー、タイプ2は代理マーカーである。

 ✅バイオマーカーから、喘息の治療反応性を予想できるようになるだろう。

 

 

 バイオマーカーに関して、次回の各論に続きます。

■ 次回は、それぞれのバイオマーカーの各論です。

 

 

今日のまとめ!

 ✅喘息のバイオマーカーに関するレビューが発表されている。

 

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