初発の複雑性熱性けいれん発作の入院中に、脳波検査は必須か?

Olson H, et al. Should patients with complexbe admitted for further management? The American journal of emergency medicine 2017.[Epub ahead of print]

熱性けいれんは小児では少なくない病態です。

■ 熱性けいれんは小児に少なくない病態ですが、複雑性熱性けいれん(部分発作の要素、15分以上の持続時間、一熱発機会で24時間以内に繰り返す発作)は、入院経過観察することが一般的です。

熱性けいれん診療ガイドライン2015において、複雑性熱性けいれんに対する脳波の実施は、賛否両論であり、てんかん発症の予防における臨床的意義は確立されていないとされています。

■ そこで今回、「複雑性熱性けいれん初発時の入院中の脳波検査は有用か」を検討した報告をご紹介いたします。

 

 

初発複雑性熱性けいれんにより入院した183人の児に関し、 入院中の発作の再発リスクと、早期の脳波検査が急性管理に影響するかどうかを検討した。

背景と目的

■ 初発の複雑性熱性けいれん(complex febrile seizure; CFS)になった児は、しばしば観察のため入院する。

■ この研究の目的は、1)入院中の発作の再発リスクを評価すること、2)早期の脳波検査(EEG)が急性管理に影響するかどうかを判断することだった。

 

デザイン/方法

■ 我々は、15年間に及ぶ、初発の複雑性熱性けいれん(CFS)により小児救急部から入院した、生後6~60ヶ月のコホートを後ろ向きに検討した。

■ 熱性疾患に対する補助的治療のために入院した児は除外された。

■ データには、年齢、性別、発作の特徴、検査室での検査/画像検査、脳波、入院中の再発作、抗てんかん薬(antiepileptic drugs ;AED)が含まれた。

 

結果

183人が基準を満たし、入院中に7人が再発作が認められた(183人中7人[3.8%])

■ 受診時に38人が抗てんかん薬を服用していたため、調整率は7/145(4.8%)だった。

■ 入院中の発作再発のリスクは、複数の発作を呈した児で有意に増加した(P = 0.005)

脳波は183人中104人(57%)で実施され、1人(1%、95%C.I. 0.05〜6%)に対する治療の変更につながった

再発作があった7人中6人にEEGが実施され、3人は正常であり、他の2例の所見は入院中のさらなる発作の示唆も予測もしなかった

 

結論

初発CFSは、入院中に発作が再発するリスクは低い

■ 複数回の発作は、早期再発のリスクと関連しており、入院を正当化するかもしれない。

■ EEGは急性管理には限定的な効果しかなく、入院のための指標とはならない。

 

結局、何がわかった?

 ✅初発の複雑性熱性けいれん183人のうち、入院中に再発作が認められたのは7人(3.8%)だった。

 ✅脳波は183人中104人(57%)で実施されたが、治療変更につながったのは1人(1%、95%C.I. 0.05〜6%)のみだった。

 ✅入院中に再発作がみとめられた7人中6人に脳波が実施されたが、3人は正常、他の2例も入院中の再発作の示唆も予測もしなかった。

 

 

複雑性熱性けいれんの入院中に脳波を急ぐべきかどうかは、その状況に応じるでしょうが、多くの場合は不要のようです。

■ もちろん、脳波はできるにこしたことはないかもしれませんが、夜間に脳波検査が実施できる施設は限られるでしょうし、有用な報告ではないかと思います。

 

今日のまとめ!

 ✅初発の複雑性熱性けいれんに対し、入院中の脳波検査は限られた有用性しかなさそうだ。

 

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