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Flohr C, et al. Effect of an Intervention to Promote Breastfeeding on Asthma, Lung Function, and Atopic Eczema at Age 16 Years: Follow-up of the PROBIT Randomized Trial. JAMA pediatrics 2018; 172:e174064-e.

母乳栄養は、アレルギー疾患を予防するか?

■ 母乳栄養がアレルギーを予防するかどうかは、予防できるという報告と、予防できないという報告があります。

■ 今回は、大規模介入ランダム化比較試験で、母乳栄養のアレルギー疾患発症に関連するかどうかを確認した報告をご紹介いたします。今回の講演で使用した論文のひとつです。

 

ベラルーシの健常乳児17046人に対し、通常ケア群 vs 母乳栄養推進による介入群にランダム化し、16歳時点での呼吸機能・アレルギー疾患の発症リスクを評価した。

重要性

■ アトピー性疾患(喘息およびアトピー性皮膚炎を含む)は、小児期における最も一般的な慢性疾患である。

 

目的

■ 長期で完全母乳育児を促進する介入が、喘息、アトピー性皮膚炎、青年期の肺機能低下を予防するかどうかを調査する。

 

試験デザイン、セッティング、参加者

■ ベラルーシの産科病院および提携した総合病院30施設におけるランダム化試験である、母乳育児介入試験(Promotion of Breastfeeding Intervention Trial;PROBIT)の追跡研究。

■ 1996年6月15日~1997年12月31日までに、健常乳児17046人がリクルートされた。2016年5月9日から2017年4月21日までのデータ解析が実施された。

■ 主要な解析は、修正ITT解析で実施された。

 

介入

通常のケア vs 母乳栄養促進の介入によりランダム化された。

 

主なアウトカムと計測結果

■ プライマリアウトカムは、スパイロメトリー結果と、小児科医による標準化された皮膚診察による屈曲部の湿疹だった。

■ セカンダリアウトカムは、自己申告により過去診断された喘息、前年の喘鳴および屈曲部の湿疹症状だった。

 

結果

■ 2012年9月15日から2015年7月15日まで、計13557人(79.5%)の参加者が追跡された。

■ 追跡調査時、介入群(7064人 [79.7%])と対照群(6493人 [79.4%])は同じような群だった(男児3590人 [50.8%] vs 3391人 [52.2%]、平均年齢 16.2±0.2歳 vs 16.1±0.5歳)。

対照群が皮膚診察で屈曲部湿疹が0.7%(6493人中43人)、強制呼気1秒量/努力肺活量(FEV1 / FVC)比 zスコアが0.35(1.34)であったのに比較して、介入群では、屈曲部湿疹が0.3%(7064人中21人)、FEV1 / FVC比 zスコアが-0.10(1.82)だった

■ クラスター化を考慮したITT解析では、対照群と比較し介入群が皮膚診察による屈曲部湿疹リスクが54%低かった(オッズ比[OR] 0.46; 95%CI 0.25~0.86)

過去1年間に自己申告された屈曲部湿疹の症状(OR 0.57; 95%CI 0.27~1.18)、喘息(OR 0.76; 95%CI 0.47~1.23)、喘鳴(OR 0.66; 95%CI 0.37〜1.18)は、対照群と比較して介入群で報告される頻度が低かったが、95%CIは幅が広く、ゼロをまたいでいた

■ FEV1 / FVC比zスコア(β-0.15; 95%CI -0.76-0.45)には有意差を認めなかった。

■ ランダム化された17046人の参加者において試験開始時の特性により追加の調整を行っても、すべての結果は変わらなかった。

 

結論と妥当性

■ 母乳育児を促進するという介入は、屈曲部皮膚炎のリスクを減少させたが、アトピー性皮膚炎やアレルギーがまれである状況では、肺機能や、アンケートに基づく青年期のアトピー性皮膚炎、喘息に検出可能な効果はなかった。

 

結局、何がわかった?

 ✅ベラルーシの健常乳児17046人に対し、通常ケア群 vs 介入群(母乳栄養推進)にランダム化し、16歳時点で呼吸機能・湿疹を評価した。

 ✅対照群が皮膚診察で屈曲部湿疹が0.7%(6493人中43人)、強制呼気1秒量/努力肺活量(FEV1 / FVC)比 zスコアが0.35(1.34)であったのに比較して、介入群では、屈曲部湿疹が0.3%(7064人中21人)、FEV1 / FVC比 zスコアが-0.10(1.82)だった。

 ✅ITT解析では、対照群と比較し介入群が皮膚診察による屈曲部湿疹リスクが54%低かった(オッズ比[OR] 0.46; 95%CI 0.25~0.86)。

 

 

母乳栄養のアレルギー疾患予防効果は、限定的かもしれない。

■ 母乳栄養自体は重要と思っていますし、推進すべきと思っています。また、ベラルーシは東欧の国のひとつで本邦よりもアレルギー疾患は少なく、そのまま本邦へ適応はできないかもしれません。

■ ですが、母乳栄養に関しての介入研究として極めて大規模ですし、母乳栄養に過大なアレルギー疾患予防効果は期待できないといえるでしょう。

■ 一方、母乳栄養に関しては、母乳内のサイトカインや多価不飽和脂肪酸の影響を論じた報告も増えています。そのため、母乳の質に着目した検討が、今後増えそうに思います。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ベラルーシにおける母乳栄養の推進は、16歳までの屈曲部湿疹リスクを減らした。

 ✅しかし、16歳時点での過去1年間に自己申告された屈曲部湿疹の症状、喘息、喘鳴に関しては、介入群でリスクは低い傾向があったものの、有意差はなかった。

 

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