卵を早期開始すると、栄養状態は改善する?
■ 私はアレルギー専門医ですので、卵の早期開始というとアレルギー予防の観点からみることが多いです。
■ 一方で、卵は良質の蛋白質を摂取できる素晴らしい食品でもあり、栄養状態を改善させる可能性があります。
Iannotti LL, et al. Eggs in Early Complementary Feeding and Child Growth: A Randomized Controlled Trial. Pediatrics 2017; 140(1).
生後6〜9ヵ月児を、卵摂取群(1日卵1個×6ヶ月間 )と対照群(介入なし 80人)にランダム化し、身長・体重の伸びを検討した。
背景
■ 卵は、成長と発育のための栄養素として良い供給源である。
■ 私たちは補完食中に早期に卵を導入すると児の栄養を改善するかもしれないと仮定した。
方法
■ 2015年3月~12月まで、エクアドルのCotopaxi省でランダム化比較試験を実施した。
■ 生後6〜9ヵ月児を、介入群(1日卵1個×6ヶ月間 83人)と対照群(介入なし 80人)にランダム化した。
■ 両群は、Lulun 計画(キルワ語でLulunは「卵」を意味する)において、参加を促すための社会的マーケティングメッセージを受けた。
■ すべての世帯を週1回訪問し、罹患率の症状をモニターし、卵を配布し、卵の摂取量をモニターした(卵群のみ)。
■ 試験開始時およびエンドポイントアウトカム指標として、身体測定、食事摂取頻度、病的状態が含まれた。
結果
■ 母親または他の介護者は、卵に対するアレルギー反応を報告しなかった。
■ 一般化された線形回帰モデルは、卵による介入群は、年齢に応じた身長のzスコアが0.63(95%信頼区間[CI] 0.38-0.88)および年令に応じた体重のzスコアが0.61(95%CI 0.45-0.77)増加させることを示した。
■ ポアソン対数二項モデルは、介入群において、発育の阻害率を47%(有病率比 [prevalence ratio; PR] 0.53; 95%CI 0.37-0.77)低下させ、低体重を74%(PR 0.26; 95%CI 0.10-0.70 )少なくすることを示した。
■ 介入群は、卵の食事量がより多くなり(PR 1.57; 95%CI 1.28-1.92)、砂糖菓子類の摂取量が減少した(PR 0.71; 95%CI 0.51-0.97)。
結論
■ この調査結果は、卵の早期導入が幼児の成長を有意に改善するという仮説を支持した。
■ 一般的に、脆弱なグループに介入可能な卵は、発育阻害を軽減するという世界的な目標に貢献する可能性がある。
結局、何がわかった?
✅卵を生後6~9ヶ月から導入すると、年齢に応じた身長のzスコアが0.63(95%信頼区間[CI] 0.38-0.88)および年令に応じた体重のzスコアが0.61(95%CI 0.45-0.77)増加した。
✅卵摂取群は、卵摂取量が増える一方で、砂糖を含んだお菓子の摂取量は減少した。
あくまで発展途上国の結果ではあるものの、卵は栄養素として重要と言えそう。
■ あくまで発展途上国での研究結果ですので、そのまま我が国でつかえるとは言えませんが、卵アレルギー予防の結果、成長を即すことができればよりよいのではないかと思います。
今日のまとめ!
✅卵の離乳食への早期導入は、成長を即すかもしれない。