Salo M, et al. Association of IgE-Mediated Allergy With Risk of Complicated Appendicitis in a Pediatric Population. JAMA Pediatr 2018. [Epub ahead of print]
アレルギー体質と虫垂炎?
もともと、「かゆい」という反応も、決して悪いばかりではなかったはずなんだ。
例えば、毒虫が体にくっついたとしようか。それが判断できなかったら危ないよね?
それを「かゆい」という感覚が出てきて払いのければ大事にいたらなくてすむ、、そういう反応じゃあないかという話もあるよ。
じゃあ、アレルギー体質も、ちょっとはいいことがあるかもしれないと思わせる報告が最近のJAMA Pediatricsに発表されていたから、それを紹介しよう。
急性虫垂炎のため虫垂切除術を受けた15歳未満の全患者605人に関し、アレルギー体質の有無により複雑性虫垂炎の合併率が異なるかを検討した。
重要性
■ 小児虫垂炎は一般に壊疽や穿孔によって悪化するが、複雑性(合併症のある)虫垂炎の原因とそれを回避する方法は未知のままである。
目的
■ IgE依存性アレルギーのある小児が、複雑性虫垂炎のリスクが低いかどうかを検討する。
試験デザイン・セッティング・参加者
■ この後ろ向きコホート試験には、2007年1月1日から2017年7月31日に、IgE依存性アレルギーの有無にかかわらず、スウェーデンの小児三次病院において急性虫垂炎のため虫垂切除術を受けた15歳未満の全患者(以下、”小児 [children]”と記載)が含まれた。
主な結果と検査
■ 独立した変数としてIgE依存性アレルギーの存在と壊疽または穿孔という複雑性虫垂炎のリスクを、年齢・性別・一次医療機関の受診・季節性の抗原曝露・アレルギーに対する薬物治療・虫垂結石・症状の持続期間により調整し、検討した。
結果
■ 小児605人( 男児63.0%;年齢中央値10歳;四分位範囲 7-12歳)のうち、IgE依存性アレルギーを持っていたのは102人(16.9%)、アレルギーを持っていなかったのは503人(83.1%)だった。
■ アレルギーを持たない児のうち236人(46.9%; 調整オッズ比 0.33; 95%CI 0.18〜0.59)と比較し、IgE依存性アレルギーのある児では20人(19.6%)において複雑性虫垂炎を発症した。
■ 性別、季節性の抗原曝露、アレルギーに対する薬物治療により、アレルギーによる効果の有意な変化は見られなかった。
■ IgE依存性アレルギーのある小児では、入院期間が短かった(中央値、両群とも2日; 四分位範囲 1~2日 vs 1~5日; P = .004)。
結論と妥当性
■ この検討では、IgE依存性アレルギーのある小児は、複雑性虫垂炎のリスクがより低かった。
■ この知見は、免疫学的素因が虫垂炎の臨床パターンを修正することを示唆している。
■ この理論は、小児期の最も一般的な外科的緊急事態の1つである虫垂炎に対し、病因および臨床的な意思決定を理解するための新しい機会を先導する。
結局、何がわかった?
小児605人( 男児63.0%; 年齢中央値10歳)、アレルギー体質 102人(16.9%)、非アレルギー体質 503人(83.1%)の虫垂炎のために入院した参加者のうち、
✅複雑性虫垂炎を発症したのはアレルギーを持たない児のうち236人(46.9%)と比較し、IgE依存性アレルギーのある児では20人(19.6%)であり、調整オッズ比 0.33 ( 95%CI 0.18〜0.59)でアレルギー体質である方が発症リスクが低くなった。
アレルギー体質だと、虫垂炎がこじれにくいかもしれない。
■ 複雑性虫垂炎になりにくい理由は明らかではありませんが、すこしはアレルギー体質もいい面が、、たぶん、「あかちゃん」は納得しないでしょうね、、
今日のまとめ!
✅アレルギー体質だと、複雑性虫垂炎になるリスクが0.33倍になる。