Esquivel A, et al. Effects of omalizumab on rhinovirus infections, illnesses, and exacerbations of asthma. American journal of respiratory and critical care medicine 2017; 196:985-92.
生物学的製剤の思いがけない効果。
喘息ではオマリズマブ(ゾレア)と、メポリズマブ(ヌーカラ)が小児適応があるよ。
アレルギー性の小児喘息478人に対し、オマリズマブによる治療がライノウイルスによる疾病頻度や期間を短縮するかどうかを調査した。
根拠
■ アレルギー性の炎症はウイルス性疾患に対する感受性の増加に関連しているが、この関連が原因であるかどうかは不明である。
目的
■ IgEを低下させるオマリズマブによる治療が、アレルギー性喘息の小児におけるライノウイルス(rhinovirus; RV)疾患の頻度や期間を短縮するかどうかを調査すること。
方法
■ 米国の8都市におけるPROSE (Preventative Omalizumab or Step-up Therapy for Severe Fall Exacerbations) 試験において、低収入の国勢調査標準地域からリクルートされたアレルギー性喘息(6歳〜17歳、478人)の小児を調査した。
■ そして、ガイドラインに基づく喘息ケア 89人またはオマリズマブのアドオンによる治療 259人にランダム化された群ごとにウイルスを分析した。
■ 鼻粘液サンプルに関してライノウイルスについて毎週分析し、2012年または2013年の秋季に90日間にわたる呼吸器症状および喘息増悪を記録した。
■ 介入群による調整疾病率(サンプルあたりの疾病)をポアソン回帰を用いて計算した。
測定値および主なアウトカム
■ ライノウイルスは、増悪時の171検体中97検体(57%)および非増悪時の5,959検体中の2,150検体(36%)において検出された(OR 2.32; P <0.001)。
■ 喘息増悪は、ライノウイルスC(OR、2.85; P <0.001)およびライノウイルスA(OR、2.92; P <0.001)と有意に関連し、それらほどではないものの、ライノウイルスB(OR、1.98; P = 0.019 )も有意に関連した。
■ オマリズマブは、ライノウイルス感染の持続時間を短縮し(11.2日 vs 12.4日 ; P = 0.03)、ピーク時のRVの排出量を0.4 log単位減少させた(95%信頼区間、-0.77~0.02; P = 0.04)。
■ 最後に、オマリズマブはライノウイルスによる疾病頻度を減少させた(リスク比0.64; 95%信頼区間0.49~0.84)。
結論
■ アレルギー性喘息の小児では、オマリズマブによる治療はRV感染の持続期間・ウイルス排出・RVによる疾病リスクを減少させた。
■ これらの知見は、IgEのブロッキングがRV感染や疾病に対する感受性を低下させるという直接的なエビデンスを提供する。
結局、何がわかった?
アレルギー性喘息478人を、ガイドラインに基づく喘息ケア 89人と、オマリズマブ(ゾレア)のアドオンによる治療 259人にランダム化し、ライノウイルス感染との関連を検討すると、
✅オマリズマブ(ゾレア)はライノウイルス感染の持続時間を短縮し(11.2日 vs 12.4日 ; P = 0.03)、ピーク時のライノウイルス排出量を0.4 log単位減少させた(95%信頼区間、-0.77~0.02; P = 0.04)。
✅さらに、オマリズマブ(ゾレア)は、ライノウイルス感染の疾患頻度も減少させた(リスク比0.64; 95%信頼区間0.49~0.84)
オマリズマブ(ゾレア)は、喘息そのものだけでなく、ライノウイルス感染の持続期間の短縮や予防にも働くようだ。
■ 機序に関しては、ゾレアが、ライノウイルスに対するIFN-α応答を改善することを以前ブログでもご紹介いたしました。
■ ただし、ゾレアは高価なうえ、中止すると効果が減弱することも問題となるでしょう。
今日のまとめ!
✅オマリズマブ(ゾレア)は、ライノウイルス感染の持続や排出量を減らし、さらに感染予防にも働くようだ。