Marcon A, et al. Airway responsiveness to methacholine and incidence of COPD: an international prospective cohort study. Thorax 2018:thoraxjnl-2017-211289.
小児期の肺機能低下は、成人期まで続く?
NEJMの報告は、小児期の肺機能低下は成人期の肺機能の低下に関連して、COPDの発症リスクになるという内容だったね。
もちろん、吸入ステロイド薬を無制限につかってはいけないけど、喘息ひとつとっても、簡単ではないことを肝に銘じたほうがいいと思うんだよ。
多施設共同コホート研究から、37歳時の気道反応性が、中央値9年後のCOPD発症リスクと関連しているかどうかを前向きに検討した。
背景
■ 気道過敏性上昇がCOPD発症を予測できるか否かは議論中であり、いまだ確立されていない。
■ この関係を確認することで、リスクのある患者を特定するのに役立つ。
目的
■ 気道過敏性がCOPD発症リスクと関連しているかどうかを前向きに検討する。
方法
■ 類似の方法(欧州Community Respiratory Health Survey、成人の大気汚染と肺・心臓疾患)を用いて3時点からデータを収集した、多施設共同コホート研究2試験からのデータを収集した。
■ 初診時(1991~1994年)にメサコリン投与量反応性を4分位を用いて参加者(年齢中央値37歳; 第1〜第3四分位数:29〜44)を気道反応性で分類した。
■ その後、第2回目の検査(1999〜2003年)により気道閉塞のある被験者を除外し、第3回目の検査(2010〜2014年)における性別、年齢、教育、肥満指数、喘息の病歴、喫煙、職業上の曝露、気道径の指標で調整したCOPD(気管支拡張薬投与後のFEV1 / FVCが正常下限値以下)の発症率を解析した。
結果
■ 経過観察期間(中央値9年間)に、4205人のうち108人にCOPDが新規に発症した。
■ 気道過敏性の上昇に伴い、最も反応性の低い群(発症率 1000人中0.6人)と比較して、COPDの調整罹患率比は1.79(95%CI 0.52〜6.13)~ 8.91(95%CI 3.67〜21.66)に上昇した。
■ 喫煙者と非喫煙者において同様の用量 - 過敏性の関連性が観察され、喘息または喘息様症状の既往歴のない参加者ではより強い関連が見られた。
結論
■ 本研究は、気道過敏性上昇がCOPDに対する独立したリスク因子であることを示唆した。
■ さらなる研究は、気道過敏性の高い患者に対する早期治療が疾患の進行を遅らせることができるかどうかを明らかにせねばならない。
結局、何がわかった?
✅多施設共同コホート試験に参加した中央値37歳の参加者において、メサコリン負荷試験で確認した気管支過敏性は、最も過敏性の低い下位1/4群に比較して、約9年後のCOPD発症リスクは1.79~8.91倍になった。
気道過敏性は、その後のCOPD発症リスク。
■ 論文にもあるように、気道反応性の高い患者に対して早期治療をすることでCOPD発症を減らすかどうかは、今後の検討を待つ必要があるでしょう。
今日のまとめ!
✅壮年期の気道過敏性は、その後のCOPD発症予測因子になる。