小児期の体重は、成人期の喘息による入院リスクに影響するか?

Ulrik CS, et al. BMI at school age and incident asthma admissions in early adulthood: a prospective study of 310,211 children. Clinical Epidemiology 2018; 10:605.

肥満は喘息の要因か?

うさみん
ねえ、ほむほむ。
肥満って、喘息の原因なの?結果なの?

ほむほむ
うむ、、
結構難しい質問だね。
肥満は一般には喘息のリスクと考えられている。ただ、肥満の起こりやすさが腸内細菌叢から悪化しているという考え方もあり、細菌叢の多様性の低下(dysbiosis)はアレルギーの原因になることもわかっている。
これら交絡因子(dysbiosis→肥満&アレルギーだから、肥満とアレルギーに関連がみえてしまう)という考え方もあるし(Early origins of asthma. Role of microbial dysbiosis and metabolic dysfunction. Am J Respir Crit Care Med 2018; 197:573-579. )、さらに、「肥満喘息症候群」という別疾患という考えも提唱されている(J Allergy Clin Immunol 2018; 141: 1169-79.)。
僕のなかでもまだ結論はでていないなあ。

うさみん
なんだ、はっきりしないなあ。

ほむほむ
まあ、このあたりはまだ僕も勉強不足と言うことだ。
ということで、肥満とその後の喘息発症に関するコホート試験をみてみることにしよう。

 

 

 

児童310,211人の前向き試験を行い、成人期早期の喘息入院リスクを調査した。

背景

■ 成人期の体重超過は、喘息の入院リスク(asthma admission; AA)と関連している。

■ 私たちの目的は、この関連が小児期の体格指数(body mass index ; BMI)と成人初期(20-45歳)のAAとの関係にも適用されるかどうかを調べることであった。

 

方法

■ これはコペンハーゲンの学校保健記録登録簿からの児童310,211人(1930年 - 1989年生まれ)の前向き研究であった。

■ 身長と体重は毎年測定され、BMIのzスコアは、低値(四分位低値)、正常(四分位中間)、高値(四分位高値)に分類された。

■ 7〜13歳時のBMIとAAとの関連は、Cox回帰に基づいて推定され、ハザード比(Hazard Ratio; HR)95%信頼性区間(CI)として提示された。

主なアウトカムは、成人期早期の病院へのAA(デンマーク国立患者登録簿から抽出された)だった。

 

結果

■ 4,708,607人・年のフォロー期間中、1,1813人のAAが認められた。

■ 小児期のBMIとAAの間に非線形的な関連が見いだされた。

■ 小児期の最も高いBMIカテゴリーの女児ではAAのリスクが高まり、13歳でのAAリスクのHRが最大1.3(95%CI 1.16~1.55)だった。

■ 対照的に、低いBMIカテゴリーの男児は、成人早期にAAのリスクが高まり、12歳でのHRが最大1.24(95%CI 1.03~1.51)を示した。

7歳~13歳にBMIが増加した女児は、安定したBMIだった女性と比較して、AAのリスクが高かった(HR 1.28,95%CI 1.10〜1.50)

 

結論

■ 初期の成人期における小児BMIとAAとの関連は非線形である。

■ 高BMIは女性のAAのリスクを増加させるが、低BMIは男性のリスクを増加させる。

 

結局、何がわかった?

 ✅小児期の肥満の女児は、13歳での喘息による入院リスクが1.3倍になる。

 ✅小児期に痩せの男児は、12歳での喘息による入院リスクが1.24倍になる。

 ✅7~13歳で肥満が進行した女児は、喘息での入院リスクが高くなる。

 

 

今ひとつすっきりしない結果ではあるものの、女児の肥満は特に喘息の重篤化が予想されるようです。

■ ちょっとすっきりしない結果ではありますが、特に女児では、肥満がその後の喘息の重篤化につながるといえるようです。

 

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今日のまとめ!

 ✅女児の肥満は特に、その後の喘息の入院リスクをあげるようだ。

 

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