Lim NR, Lohman ME, Lio PA. The role of elimination diets in atopic dermatitis—a comprehensive review. Pediatric dermatology 2017; 34:516-27.
厳格な除去食は、子どもの成長発達を阻害しうる。
食物アレルギーがあるなら、除去食は必要だよね?
食物アレルギーがあるならば、除去食は必要だよね。
でも、そこには条件があるよ。
どうやれば、食べ物って凄く沢山種類があるよね??
「必要最小限の除去食」と一言でいっても、数限りない相手に関し知識を深めていかなければ、食物アレルギーに対しては対応できないんだね。
そう簡単ではないんだよ。未だに、多くの除去食を指導されている場合が散見されるし、身長や体重が小さいまま初診される方も後をたたないのが現実だよ。
そして食物アレルギーの対応は、専門医でもさらにハードルがあがってきているのが現実だね。
でも一方で、やたら厳格な除去食は、許されることでもないよ。
指示する側は簡単だろうけど、その後のお子さんの将来に大きな影を落とすことになる。
最近もJAMAに、アトピー性皮膚炎に対し厳格な除去食をして失明されたお子さんの報告があったよ、、そして最近、厳格な除去食に対するアトピー性皮膚炎の効果に関するシステマティックレビューがあったからみてみよう。
小児・成人のアトピー性皮膚炎に対する厳格な除去食の有効性における文献レビューを実施した。
背景/目的
■ 食事は、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)のある患者とその家族の共通の関心事である。
■ ADに対する食事介入の影響に関する研究は存在するものの、多くは規模が小さく研究デザインが貧弱であるため制限されている。
■ 矛盾する結果は、患者に助言しようとする臨床医に難問を提示する。
■ このレビューの目的は、出版された文献を調査し、ADにおける食物の問題に直面した臨床医に有益な結論を出すことである。
方法
■ 小児および成人におけるアトピー性皮膚炎(AD)の食事介入に焦点を当て、2016年7月までのPubMed検索が実施された。
■ 検索は英語に限定され、AD治療のための1つまたは複数の形態の食事の変更に対する評価をした研究が含まれた。
■ ビタミン、ミネラル、プロバイオティクスなどの内服に関する研究は含まれず、AD発症の予防に関する研究も含めなかった。
■ 計43件の報告がリクルート基準を満たし、最終分析に含まれた。
結果
■ 試験は、タイプ、期間、研究されたアトピー性皮膚炎(AD)の患者集団において異なった。
■ 全体的に、事前に選択された患者に対しての特定の除去食をサポートするエビデンスはあるものの、厳格な除去食(通常6〜8種類の食物に限定される食事)のエビデンスは不十分だった。
■ 他の介入をサポートするデータは、規模が小さく、デザインが不十分な研究に基づいていた。
結論
■ 総合的な文献レビューにより、いくつかの有望な結果とさらなる研究が必要な領域があることが明らかになった。
■ アトピー性皮膚炎(AD)管理に対する除去食の有用性と役割に関する勧告に関し、強力な基盤を形成するためには、より多くのエビデンスが必要である。
■ しかし、現在のエビデンスによれば、大部分のAD患者における治療には、厳格な食事管理は有効ではないことが示された。
結局、何がわかった?
✅アトピー性皮膚炎に対する除去食に対し、特定の除去食を指示するエビデンスはあるものの、通常6〜8種類の食物に限定される食事といった厳格な除去食のエビデンスは不十分だった。
アトピー性皮膚炎に対する厳格な除去食をサポートするエビデンスは不十分。
■ 除去食を厳格にすると、様々な栄養障害を起こし得ます。
■ 「必要最小限の除去食」をサポートすることはとても大変です。そして、その道のりは決して平坦ではないとも強く感じています。努力を続けていきたいものです。
今日のまとめ!
✅アトピー性皮膚炎に対する厳格な除去食は、エビデンスが不十分である。