抗ヒスタミン薬ごとの、眠気を誘発する可能性の目安は?

世代が古い抗ヒスタミン薬は、眠気を誘発しパフォーマンスを低下させます。

■ 特に世代の古い抗ヒスタミン薬は脳内への移行が多く、眠気やインペアード・パフォーマンス(意識されないパフォーマンス)の低下を引き起こします。

■ 例えば、アレルギー性鼻炎に対する抗ヒスタミン薬により、鼻炎症状のそのもの以上に内服した鎮静性抗ヒスタミン薬によるパフォーマンスの低下のほうが学力低下に影響したという報告すらあります(Walker S, et al. Seasonal allergic rhinitis is associated with a detrimental effect on examination performance in United Kingdom teenagers: case-control study. J Allergy Clin Immunol 2007; 120:381-7.)。

■ PETを利用した抗ヒスタミン薬の脳内占拠率の図は、フェキソフェナジン(アレグラ)までの表がよく使用されていますが、ビラスチン(ビラノア)などを追加した表がフリーで確認できる報告があったのでご紹介します。

 

Yanai K, et al. The clinical pharmacology of non-sedating antihistamines. Pharmacology & therapeutics 2017; 178:148-56.

抗ヒスタミン薬の鎮静性に関するレビュー。

■ 以前、[11 C]ドキセピンと陽電子放出断層撮影法(positron emission tomography;PET)を用いたヒト脳内の抗ヒスタミン薬による脳内H 1受容体占有率測定について報告した。

■ そして、抗ヒスタミン薬をそれらの鎮静作用に従い、鎮静性・低鎮静性・非鎮静性抗ヒスタミン薬の3つのカテゴリーに客観的に分類するための脳内H 1受容体占有率の使用を提案した。

■ 非鎮静抗ヒスタミン薬は、中枢神経系への侵入性が低いため、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーの治療に推奨されている。

■ 医師と薬剤師は、薬理学的観点から抗ヒスタミン薬の鎮静リスクについて患者を十分に教育する責任がある。

■ 鎮静性抗ヒスタミン薬を処方する必要がある場合は、その鎮静作用を十分に考慮してから薬を選択する必要がある。

大多数の抗ヒスタミン薬は同等に有効であるものの鎮静性抗ヒスタミン薬の有害作用は重篤であり得るので、可能な限り非鎮静性抗ヒスタミン薬が優先的に使用されるべきである。

■ このレビューは、中枢神経系(Central Nervous System;CNS)におけるヒスタミン機能の観点から、臨床的に有用な非鎮静抗ヒスタミン薬の薬理学的性質をまとめたものである。

 

論文から引用。抗ヒスタミン薬ごとの脳内H1受容体占拠率。

 

結局、何がわかった?

 ✅ H1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)は、鎮静性、低鎮静性、非鎮静性に分類されるが、非鎮静性の処方を心がけるべきである。

 

非鎮静性抗ヒスタミン薬に関する更新された図をご紹介しました。

■ 非鎮静性に分類されるベポタスチン(タリオン)やセチリジン(ジルテック)も、眠気を訴える方は少なくありません。

■ フェキソフェナジン(アレグラ)やビラスチン(ビラノア)の脳内H1受容体占拠率が低いことは覚えておいていいかもしれません。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 抗ヒスタミン薬の脳内H1受容体占拠率の表が更新されている。

 

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