小児のアトピー性皮膚炎が増えている理由は?

アトピー性皮膚炎が増えている理由は何ですか?

■ よく、「アトピー性皮膚炎が増えている理由はなんですか?」と聞かれることがあるのですが、簡潔にまとまった短報がありました。

 

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Hajar T, Simpson EL. The Rise in Atopic Dermatitis in Young Children: What Is the Explanation? JAMA Netw Open 2018; 1:e184205.

小児のアトピー性皮膚炎が増えている理由は?

季節性と気候

■ Mohnらは、全国的な処方薬データベースを使用し、2009年から2015年までのノルウェーの小児におけるアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の発症率の増加を報告した。

■ この増加は、1歳未満の小児で特に顕著だった。

■ 重要なことに、この研究は出生した年度や季節の情報を含んでいた。ならびに、一時的であるものの臨床的に関連のある症例を見逃す可能性がある反復された横断調査と、それと比較した追加の情報を提供する発症率も含んでいた。

■ Mohnらは、小児におけるADの発症率の急速な増加は、遺伝的素因のあるヒトにおける環境要因やライフスタイル要因によって説明される可能性があると推測している。

■ Mohnらの報告は、ADの発症に影響を及ぼし得る2つの潜在的な環境要因、すなわち季節性と気候を特定した。

■ アトピー性皮膚炎は冬と春により一般的には発症し、発症率の増加はノルウェーの極めて寒い年度に見られた。

■ 米国における人口ベースの研究では、Silverbergらはまた、気温との関連といった気候要因と疾患リスクとの関連を観察した。

■ 気候がADのリスクにどのように影響するかについての正確なメカニズムは明らかではないが、室内の暖房が皮膚バリア機能に及ぼす影響に関連している可能性がある。

■ いくつかの追加の環境要因が小児のADの発症率の上昇を説明するかもしれない。

 

都市化

■ ADの発症リスクが農村部から都市部への勾配に従うことは十分に確立されている。

大気汚染と往来への近さは、ADのリスクを高めるようである。

■ 水の硬度の上昇、タバコの煙への曝露、心理的ストレスも都市化における疑わしい副産物であり、ADリスクと関連している。

■ 一方、農村部で育てられた児は、家畜やそれに付随する微生物への曝露を含め、予防的な影響を受ける可能性があり、それによって異常な免疫反応から保護されうる。

 

スキンケアの方法

■ 最後に、ADのリスクに影響を与える可能性がある見落とされがちな環境要因は、子どもの頃のスキンケアプラクティスである。

■ Kelleherらは、皮膚バリア機能障害がADの発症に先行することを発見した。

■ したがって、石鹸や洗剤は、皮膚バリア機能不全に対する先行した傾向を悪化させ、皮膚の炎症を促進し、さらに感受性の高いヒトにおいてADを発症させ得る。

■ ADの発症率の増加を説明するために、スキンケア方法が時間とともに変化したかどうかは不明であるが、米国の小児では入浴頻度は頻回でフレグランスのあるローションの使用が一般的である。

■ それらのプラクティスは、皮膚バリアに潜在的に有害である。

 

保湿剤の使用

皮膚の保湿剤により乳児期早期に皮膚バリアを保護することは、AD発症リスクを減らすように思われる

■ Mohnらは、新しいデータセットを使用して、幼児においてADが継続的な重荷になっていることを記述していることを称賛すべきである。

■ リスクの予測因子に関するさらに詳細な情報は、小児集団におけるADのこの上昇を止める可能性がある介入をより良くデザインするために必要とされている。

■ ADの発症率を低下させることは、疾患に関連した罹患率を低下させるだけでなく、付随する併存疾患の危険性を低下させるかもしれない。

 

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結局、何がわかった?

 ✅ アトピー性皮膚炎の発症リスクとして、①季節性や気候、②大気汚染と往来への近さ、③水の硬度の上昇、タバコの煙への曝露、心理的ストレス、④入浴頻度、フレグランスのあるローションの使用があげられる。

 ✅  アトピー性皮膚炎の発症を低下させる因子として、①農村部での居住(家畜やそれに付随する微生物への曝露)、②皮膚の保湿剤により乳児期早期に皮膚バリアを保護する、があげられる。

 

アトピー性皮膚炎の増加は、多種多様な原因が考えられるが、、、

■ どれもまだ十分な報告ではありませんが、発症リスクと保護因子が複数絡み合っているといえるでしょう。

■ この短報では、ノルウェーでのアトピー性皮膚炎が増えていると紹介されていますが、最近、日本では乳児期のアトピー性皮膚炎は減っているのではないかという報告があり、乳児期からの保湿剤塗布が理由なのではと推定されています。

 

今日のまとめ!

 ✅ 小児のアトピー性皮膚炎の発症には、さまざまなリスク因子と保護因子が絡み合っているといえそうだ。

 

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