”鼻洗い”もしくは”鼻うがい”は、アレルギ—性鼻炎に対する非薬物療法のひとつです。
■ 鼻洗浄とは、食塩水で鼻腔を洗浄することで、”鼻洗い”とか”鼻うがい”と言われています。
■ それほど難しくない処置ですが、高張食塩水で実施するプラクティスもあるようです。
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Li C-L, et al. Effectiveness of Hypertonic Saline Nasal Irrigation for Alleviating Allergic Rhinitis in Children: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of clinical medicine 2019; 8:64.
アレルギー性鼻炎の小児351人(4試験)に対し、高張食塩水による鼻洗浄の有効性を検討した。
目的
■ アレルギー性鼻炎(allergic rhinitis; AR)に罹患している小児における鼻の症状と生活の質を改善し、経口抗ヒスタミン薬の使用を減らすために高張食塩水鼻洗浄( hypertonic saline nasal irritation; HSNI)の有効性を調査することを目的とした。
方法
■ 2017年12月より以前に公表されたARのある児におけるHSNIの影響を評価した前向きランダム化比較試験を、 PubMed, Medline, Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature, EMBASE, Chinese Electronic Periodicals Service, and Cochrane Library of Controlled Trials データベースに対するシステマティック検索を実施した。
■ 2名のレビューアが独立して各試験の質を評価し、メタアナリシスのためにデータを抽出した。
論文から引用。試験のフローチャート。
結果
■ 351人からなる4試験が含まれた。
■ HSNIは患者の鼻症状スコアを改善し(治療後の平均差1.82ポイント; 95%信頼区間(CI)0.35-3.30; I²= 64%; p = 0.02)、レスキューの抗ヒスタミン使用率が有意に低かった(リスク比 [risk ratio; RR] 0.68; 95% CI, 0.48-0.95; I2 = 28%; p = 0.02)。
■ HSNIと等張食塩水による鼻洗浄(isotonic saline nasal irrigation; ISNI)を比較した解析では、HSNI群の患者では鼻症状スコアがより良いことが示された(平均差 1.22ポイント; 95%CI 1.01-1.44; I2 = 0%; p <0.001)が、抗ヒスタミン薬の使用(RR, 0.84; 95% CI, 0.64-1.10; I2 = 0%; p = 0.2)や有害事象の率は同等だった。
論文から引用。HSNI群と対照群における鼻症状スコアの改善。(A)全体のメタアナリシス。(B)HSNI群とISNI群の比較。
結論
■ ISNIと比較して、HSNIはARに罹患している児に対する合理的な補助療法である可能性がある。
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結局、何がわかった?
✅ 高張食塩水による鼻洗浄は患者の鼻症状スコアを改善し(治療後の平均差1.82ポイント; 95%信頼区間(CI)0.35-3.30; I²= 64%; p = 0.02)、レスキューの抗ヒスタミンの使用率が有意に低かった(リスク比 [risk ratio; RR] 0.68; 95% CI, 0.48-0.95; I2 = 28%; p = 0.02)。
✅ 高張食塩水と等張食塩水の比較では、高張食塩水の方が鼻症状スコアはより良かったものの、抗ヒスタミン薬の使用に違いはなかった。
鼻洗いは、小児のアレルギ—性鼻炎に有効なようだ。
■ 鼻洗いは、例えば下のようなキットが市販されており、普通は「等張食塩水」を用います。
■ 非薬物療法として有効なら、使用する意義もあるでしょう。高張食塩水の方が有効性は高いようですが、、
今日のまとめ!
✅ 高張食塩水による鼻洗浄は、鼻の症状は改善させ抗ヒスタミン薬の使用も減少した。