以下、論文紹介と解説です。
Berlucchi M, et al. The role of mometasone furoate aqueous nasal spray in the treatment of adenoidal hypertrophy in the pediatric age group: preliminary results of a prospective, randomized study. Pediatrics 2007; 119:e1392-e7.
アデノイド肥大のある小児60人を、①モメタゾン(商品名ナゾネックス)点鼻治療(50μg/鼻孔/日)30人(A群)、プラセボ 30人(B群)にランダム化し40日間介入して効果を比較、②さらに効果のあったA群を隔日/毎日にランダム化し、効果の程度をさらに比較した。
目的
■ アデノイド肥大のある小児において、フランカルボン酸モメタゾン水性鼻スプレーがアデノイド肥大の縮小や慢性の鼻閉塞症状の重症度低下に有効かを評価した。
方法
■ 小児60人を2段階のランダム化プラセボ対照試験に組み入れた。
■ 全患者は慢性の鼻閉症状を訴えており、鼻内視鏡検査はアデノイドが閉塞していることに起因する75%以上の鼻閉を示した。
■ 第一段階では、30人(A群)はモメタゾン点鼻治療(50μg/鼻孔/日)40日間で介入し、30人(B群)はプラセボで介入された。
■ 第二段階では、最初の40日間の治療期間の終わりに、主観的/客観的な臨床的改善を示したA群の患児を2種類のサブグループに分けた。
■ すなわち、A1群(11人)は1月の最初の2週間、モメタゾン点鼻治療を隔日で受け、A2群(10人)は月の最初の2週間にモメタゾン治療を毎日続けた。
■ 3か月後、全ての患児を再評価した。
結果
■ 57人がプロトコールに従い試験を完了した。
■ 最初の治療期間後、症状の重症度/アデノイドの大きさは、A群21人(77.7%)で縮小した。
■ プラセボ群では改善は認められなかった。
■ 3か月の追加治療後、A2群患者はA1群患者と比較してアデノイドの大きさがより顕著に縮小した。
■ 統計学的に有意な症状の変化は認められなかった。
■ モメタゾン治療は全患者の忍容性が良好だった。
結論
■ フランカルボン酸モメタゾン鼻腔スプレーは、アデノイドの大きさ/アデノイド肥大に関連する症状の重症度を低下させるのに有用である。
■ 扁桃肥大を伴わないアデノイド肥大の児に対し、手術を計画する前にモメタゾンの鼻腔内投与を考慮すべきである。
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ナゾネックス点鼻は、連日の使用でアデノイド肥大を改善させる効果がある。
■ ナゾネックスの方がアデノイド肥大の縮小効果がある理由ははっきりしませんが、アラミスト点鼻薬に比較して『液量が多い』からではないかなあと思っています。
■ バイオアベイラビリティはアラミスト以上に低いと考えられているので、全身性の副作用は少ないですし、アデノイド肥大にはまず使ってみてよさそうです。
■ 3ヶ月、というのが一つの目安といえるかもしれません。
今日のまとめ!
✅ ナゾネックス点鼻液は、アデノイド肥大を改善させる効果があるようだ。