感染症の潜伏期間を把握しておくことは、病歴聴取に重要です。
■ 風邪を診療しない医師はほとんどいないでしょう。
■ 診療に際しては、『病歴』を重視しつつ場合によっては検査などを行っていくことになるのですが、そのなかでも最初に頭に思い浮かべる疫学情報が『家族や集団生活からの感染』です。
■ その際に、潜伏期間は重要な知識になってきますが、潜伏期間に関する知識は、総論では『当たり前の知識』として出典がはぶかれていることも多いです。
■ そこで、各種の呼吸器感染症の潜伏期間に関するシステマティックレビューをご紹介します。
■ インフルエンザのA型とB型でも潜伏期間が違うんですね。これを読むまで知りませんでした(20年以上小児科医しているのに汗)。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
公衆衛生上重要な呼吸器ウイルス感染症に関する文献のシステマティックレビューを実施したところ、
✅ それぞれのウイルスの潜伏期間は、①アデノウイルスで5.6日(95%CI 4.8-6.3)、②ヒトコロナウイルス(新型コロナではない従来型)で3.2日(95%CI 2.8-3.7)、③SARSで4.0日(95%CI 3.6-4.4)、④インフルエンザA型で1.4日(95%CI 1.3-1.5)、⑤インフルエンザB型で0.6日(95%CI 0.5-0.6)、⑦麻疹で12.5日(95%CI 11.8-13.3)、⑧パラインフルエンザウイルスでは2.6日(95%CI 2.1-3.1)、⑨RSウイルスで4.4日(95%CI 3.9-4.9)、⑩ライノウイルスでは1.9日(95%CI 1.4-2.4)だった。
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