以下、論文紹介と解説です。
Keet C, et al. Age and eczema severity, but not family history, are major risk factors for peanut allergy in infancy. J Allergy Clin Immunol. 2021 Jan 13:S0091-6749(20)31709-7. doi: 10.1016/j.jaci.2020.11.033. Epub ahead of print. PMID: 33483153.
ピーナッツの摂取・検査・症状の既往歴がなく、中等症~重症のアトピー性皮膚炎・ピーナッツ以外の食物アレルギー・ピーナッツアレルギーのある家族という危険因子のうち少なくとも1つある生後4~11ヶ月の乳児計321人(年齢中央値 7.2ヵ月)のピーナッツアレルギーのリスクを評価した。
背景
■ ピーナッツを(離乳食に)早期に導入する前に高リスク群をスクリーニングするべきかは議論の余地がある。
目的
■ (1)中等症・重症のアトピー性皮膚炎、(2)ピーナッツ以外の食物アレルギー(food allergy; FA)、および/または(3)ピーナッツアレルギーのある一親等親族の乳児(first-degree relative with peanut allergy; FH)を対象に、ピーナッツ開始前にピーナッツアレルギー(peanut allergy; PA)のリスクを明らかにしようとした。
a. objective SCORADが、現在または以前の評価で25以上である、
または
b.ステロイドまたはカルシニューリン阻害剤を含む外用クリームまたは軟膏の塗布を必要とし、2回の別の機会に少なくとも7日間あった湿疹、
または
c.保護者が「関節やしわにひどい湿疹」または「ひどいかゆみ、乾燥、浸出液、痂皮性の湿疹」と記載されていたこと。2.ピーナッツ以外の食物アレルギーの医師の診断、
または
3.ピーナッツアレルギーの医師による診断歴、またはピーナッツアレルギーと一致する症状の既往歴を持つ一親等の親族。
方法
■ ピーナッツの摂取、検査、症状の既往歴がなく、上記の危険因子のうち少なくとも1つある生後4~11ヶ月の乳児は、ピーナッツの皮膚プリックテスト(SPT)を受け、SPTの膨疹の径に応じ、経口食物負荷試験、もしくは離乳食の観察を受けた。
結果
■ 計321人(年齢中央値 7.2ヵ月;男児58%)が登録を完了した。
■ 湿疹のみ78人、FAのみ11人、FHのみ107人があり、複数の危険因子を125人が持っていた。
■ 全体では、湿疹 195例の18%、FA 59例の19%、FH 201例の4%がPAを有していた。
グラフィカルアブストラクト。
■ FHと湿疹のない115人のうち、PAを持っていたのは1%のみだった。
論文から引用。湿疹があると、ピーナッツアレルギーの発症リスクが大幅に高くなり、湿疹がなければ、家族歴があってもピーナッツアレルギーの可能性は1%。
■ アトピー性皮膚炎のある児において、月齢が高い(オッズ比 [OR] 1.3;95%CI 1.04~1.68/月)、SCORADが高い(OR 1.19;95%CI 1.06~1.34/5点)、黒人(OR 5.79;95%CI 1.92-17.4; 白人と比較 )、アジア人種(OR 6.98;95%CI 1.92-25.44)、他のFAの疑いまたは診断(OR 3.98;95%CI 1.62-9.80)がPAと関連していた。
論文より引用。SCORAD(アトピー性皮膚炎の重症度)が高くなるほど、月齢が高くなるほど、ピーナッツアレルギーの発症リスクは高くなる。
結論
■ PA は中等症から重症のアトピー性皮膚炎のある乳児によく見られるが、アトピー性皮膚炎がなければ FH は大きな危険因子にはならず、重症のアトピー性皮膚炎のある乳児のみにスクリーニングを行うことが示唆される。
■ 生後1歳以内であっても、あとからの月齢での導入は、アトピー性皮膚炎のある児における PA のリスクが高いことと関連しており、できるだけ早い時期にピーナッツを導入することが支持される。
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アトピー性皮膚炎が中等症以上になると、早期にピーナッツアレルギーを発症し、『早期の離乳食開始』でも、予防にはいれなくなる可能性が高くなる。

■ アトピー性皮膚炎が中等症以上になると、生後7ヶ月の段階で5分の1近くがピーナッツアレルギーをすでに発症しているとなることから、LEAP試験通りにしても予防できない可能性があると考察されています。
■ 『乾燥肌の素因(フィラグリン遺伝子異常)』以上に、湿疹そのものがその後の食物アレルギーの発症に大きく影響するという先行研究があります。
■ そう考えると、『家族に食物アレルギーがあっても、湿疹の発症をしないように(もしくは早めに改善させて)、より早めに離乳食を導入する』という戦略が垣間見えます。
■ アトピー性皮膚炎が重篤になると、あっという間にピーナッツアレルギーの発症リスクが跳ね上がるのをみると…はやめに治療したくなりますよね。
■ なお、黒人やアジア人種にピーナッツアレルギーが多い事に関して気になるところですが、『理由はよくわからない』とされていました。
今日のまとめ!
✅ 乳児期のアトピー性皮膚炎が重篤になるほど、ピーナッツアレルギーの発症リスクは早まり、予防的な摂取開始をしても、間に合わない可能性がある。

















