大麦アレルギーは、ω5グリアジン特異的IgE抗体価で予測できるかもしれない

小麦アレルギーのある患者さんから、『大麦は大丈夫でしょうか?』と尋ねられることがあります。

■ 小麦と大麦に関しては、アレルゲン的には交差する可能性があり、小麦アレルギーのある患者さんから『大麦は大丈夫でしょうか?』とすくなからず尋ねられます。

■ 最近、そのテーマの検討がありましたので共有します。

 

Yanagida N, Takei M, Saito A, Sato S, Ebisawa M. Clinical cross-reactivity of wheat and barley in children with wheat allergy. Pediatr Allergy Immunol 2022; 33:e13878.

小麦アレルギーのある53人(6.6歳中央値)(内74%が小麦に対するアナフィラキシーの既往歴あり)の児に対し、大麦負荷試験を行った。

背景

■ いくつかの研究により、小麦と大麦のin vitroでの交差反応性が報告されている。
■ しかし、小麦と大麦の臨床的な交差反応性に関するエビデンスは限られている。
■ 本研究では、即時型小麦アレルギーを持つ小児を対象に、大麦と小麦の臨床的な交差反応性を検討した。

 

方法

■ 小麦アレルギー児の小麦経口負荷試験の閾値量を検討した。
■ 大麦の反応性を検討し、必要に応じて麦茶、麦飯の経口食物負荷試験を実施した。
■ 小麦、ω-5グリアジン、大麦特異的IgE(sIgE)抗体価を測定した。

 

結果

■ 中央値6.6歳の小児53人(男児39人[74%])を評価した。
■ そのうち、39人(74%)は小麦に対するアナフィラキシーの既往があった。
■ 小麦、大麦、ω-5グリアジン-sIgE値の中央値は、それぞれ57.3、12.1、3.2kUA /Lだった。
■ 麦茶(1.8 mg)に反応した患者は12人、麦飯(220-440 mg)に反応した患者は14人、麦茶と麦飯に耐性を示した患者は27人だった。
■ 大麦アレルギー患者は、大麦耐性患者に比べ、小麦やω-5グリアジン、大麦-sIgE値が有意に高く、小麦の閾値用量は有意に低かった。
■ ω-5グリアジン-sIgEは、小麦アレルギー患者における大麦アレルギーの最も有用な予測因子だった。
■ ω-5グリアジン-sIgEの大麦アレルギーに対する95%陽性予測値は4.6 kUA /Lだった。

結論

■ 小麦アレルギー児の半数が大麦に反応した。
■ 小麦の閾値が低いことが大麦アレルギーの交差反応性に関係していた。
■ ω5グリアジン-sIgEは、小麦アレルギー児の交差反応性大麦アレルギーを予測する。
■ 大麦に対する臨床的な交差反応性は、小麦アレルギー児の管理において考慮されるべきである。

 

 

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