Baked Egg(十分に焼き固めた卵)の陽性予測には、どのような検査が最も有用か?

Baked Eggとは、ビスケットのように『焼き固めた卵』のこと。

■ 卵アレルギーは日本人の食物アレルギーとしてもっとも多い相手です。
■ そして、卵アレルゲンは加熱により変化することはよく知られているでしょう。
■ Baked Egg(焼き固めた卵)と軽い加熱をした卵で、アレルゲン性が大きく異なります。

■ 一般的には、特異的IgE抗体価で予測することが多いのですが、好塩基球活性化検査(BAT)の方がより正確であるという報告があります。

 

Krawiec M, Radulovic S, Foong R-X, Marques-Mejias A, Bartha I, Kwok M, et al. Diagnostic utility of allergy tests to predict baked egg and lightly cooked egg allergies compared to double-blind placebo-controlled food challenges. Allergy; n/a.

生後6ヵ月から15歳までの小児150人を対象に、卵アレルギーの可能性を皮膚プリックテスト(SPT)、特異的IgE抗体価(sIgE)、好塩基球活性化試験(BAT)の予測精度を確認した

背景

■ 二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(DBPCFC)は、食物アレルギーを診断するためのゴールデンスタンダードである。
■ しかし、DBPCFCは予測不可能な重症アレルギー反応を引き起こす可能性がある。
■ そこで、Baked egg(BE)および軽く料理した卵(lightly cooked egg; LCE)に対するDBPCFCと比較して、現行の診断テストおよび新しい診断テストの精度を評価した。

方法

■ BAT2試験(NCT03309488)の一環として、生後6ヵ月から15歳までの小児を対象に卵アレルギーの可能性を評価した。
■ 臨床的な評価、皮膚プリックテスト(SPT)、特異的IgE(sIgE)、好塩基球活性化試験(BAT)を実施した。
■ 検査結果は、BEとLCEの両方に対するDBPCFCの結果と比較された。

結果

■ 計150人の小児がBEに対するDBPCFCを受け、60人(40%)がBEに反応し、85人(57%)がBEに耐性を示した。
■ BEに耐性を示した77人がLCEにおけるDBPCFCを受け、16人が反応した。
■ 各試験法においてBEアレルギーの診断能が最も優れていた検査法は以下の通りだった。
■ すなわち、卵白(EW)に対するSPT(AUC=0.726)、EWに対するsIgE(AUC=0.776)、卵に対するBAT(AUC=0.783)である。

■ BATは、2歳未満の年齢層で最も優れた検査だった(AUC=0.867)。
■ 感度100%、特異度100%のカットオフ値を適用し、次いでOFCを適用すると、診断精度は100%となった。
■ BATはOFCを最も減少させた(41%)。
■ sIgEの後にBATを使用することで、OFCの数を有意に増加させることなく、BATの実施数を約30%減少させることができた。

結論

■ 診断精度とOFC回数の減少の観点からは、最良の検査は卵に対するBATだった。
■ sIgEをEWに使用した後にBATを使用することで、OFCの減少と診断精度を維持したまま、BATの回数を少なくすることができた。

 

論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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