牛乳アレルギーのある乳児に、低アレルゲンミルクを導入することは、治療と成長の改善、ふたつの利点がある。
■ 低アレルゲンミルクが、牛乳アレルギーの治療に有効ではないかという報告は、10年ほどまえから報告されていました。
■ そしてメキシコの施設から、低アレルゲンミルクを早期に開始することで、牛乳アレルギーの治療や成長の改善につながるかもしれないという研究結果があり、共有いたします。
※低アレルゲンミルクを飲まなければならない、という話をしているわけではありません。開始時にはかかりつけ医とご相談くださいませ。
Estrada Reyes E, Zepeda Ortega B, Ten Haaf D, Kudla U, Muhardi L, Hofman DL, Hageman JHJ, Huerta Hernández RE. Symptom's resolution and growth outcome of children with cow's milk protein allergy consuming two hydrolyzed formulas: A retrospective study in Mexico. Front Allergy. 2023 Jan 30;4:1073430.
牛乳アレルギーのある児に、乳清加水分解乳(eHF-W)とカゼイン加水分解乳(eHF-C)をベースとした試験用ミルクを76人に摂取させた。
背景
■ 牛乳タンパク質アレルギー(CMPA)は、乳幼児における食物アレルギーの主要な原因である。
■ 高度加水分解乳(eHF)は食事療法の第一選択として使用されるが、すべてのeHFが同様のペプチドプロファイルや加水分解の度合いを持つわけではない。
■ 本レトロスペクティブ研究の目的は、メキシコにおけるCMPAの臨床管理に関して、市販の2種類の乳児用ミルクの使用について、症状の消失や成長の経過の観点から調査することである。
方法
■ メキシコの4施設から被験者79人の医療記録を対象とし、アトピー性皮膚炎や牛乳タンパク質アレルギーの他の症状、成長の経過を後方視的に評価した。
■ 加水分解ホエイタンパク質(eHF-W)と加水分解カゼインタンパク質(eHF-C)をベースとした試験用ミルクを使用した。
結果
■ 79人のカルテが登録され、3人は以前から粉ミルクを接種していたことから分析から除外された。
■ 皮膚プリックテストや血清特異的IgE値に基づいてCMPAが確認された76人の小児が解析に含まれた。
■ 82%(n = 65)がeHF-C(カゼイン分解乳)を摂取した。
■ これは医師が高度加水分解ミルクを好む傾向と、被験者がβ-ラクトグロブリンに対する陽性反応の発生率が高いことを反映していると考えられた。
■ 初診時に、カゼインベースの低アレルゲンミルクを摂取した被験者の55%、ホエイベース低アレルゲンミルクを摂取した被験者の45%が、軽度から中程度の皮膚症状を呈していた。
■ その他の症状として、呼吸器系疾患、腸炎、大腸炎が頻繁に報告され、両加水分解乳の摂取により改善された。
■ CMPAに関連するすべての症状は、加水分解乳の摂取により改善された。
■ また、観察期間中に、両群とも成長が有意に改善された。
結論
■ eHF-CとeHF-Wの摂取は、メキシコのCMPA患児の症状と成長の結果を効果的に改善した。
■ eHF-Cは、加水分解物のプロファイルとβ-ラクトグロブリンが含まれていないため、より好まれることが報告された。
試験登録
■ 本試験はClinicalTrials.govに、NCT04596059として登録されている。
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