生後3ヶ月に、どれくらいの乳児が食物アレルゲンと吸入アレルゲンに感作されているのか?

小児のアレルゲン感作はいつから?PreventADALL研究からの報告。

■ IgE抗体は、アレルギーに『感作』されていることを示す、重要な検査です。

■ しかし、小児におけるIgE抗体の産生時期は、母親のIgE抗体がすぐに消失するためはっきりしていません

■ そのなかで、北欧のコホート研究から、生後3ヶ月の感作状況をしらべた研究が公開されています

Tedner SG, Söderhäll C, Konradsen JR, Bains KES, Borres MP, Carlsen K-H, et al. Extract and molecular-based early infant sensitization and associated factors—A PreventADALL study. Allergy 2021; 76:2730-9.

北欧のPreventADALL母児コホートから選ばれた、生後3ヶ月で血清が入手できた1110人の乳児を対象に、乳児のアレルゲン感作(シラカバ、ネコ、イネ科植物、イヌ、牛乳、卵、ピーナッツ、小麦)を特異的IgE抗体価で確認し、食物粗抗原特異的IgE抗体陽性の乳児には…食物粗抗原特異的IgE抗体陽性の乳児にはさらにコンポーネント検査を実施した。

背景

■ 将来のアレルギー発症をより正確に予測するため、乳幼児期の感作パターンと分子アレルギー学の影響についての知識を深める必要がある。

目的

■ 生後3ヶ月の乳児におけるアレルギー感作の有病率とパターンを明らかにし、関連する因子を探索する。

方法

■ スカンジナビアにて、出生前に募集されたPreventADALL母子コホートから、生後3ヶ月で血清が入手できる1110人の乳児を対象に研究を行った。
■ アレルギー感作の指標として、シラカバ、ネコ、イネ科植物、イヌ、牛乳、卵、ピーナッツ、小麦に対するPhadiatop Infant®(ThermoFisher Scientific)を用いたs-IgEの測定を行い、0.1 kUA/L以上を感作と定義した。
■ さらに、食物抽出物s-IgE陽性の乳児には、オボムコイド、カゼイン、Ara h 1-3、ω-5-グリアジンに対するImmunoCAPを実施した。
■ 母親の感作は、妊娠18週時のPhadiatop®(吸入性アレルゲンミックス)またはFx5(食物アレルゲンミックス)に対するs-IgEが0.35 kUA/L以上で定義した。

結果

■ 全体で79名(7.3%)の乳児に特異的な感作が見られ、その大部分はs-IgE値が低かった(IQR 0.16-0.81kUA/L)。
■ 78名が食物抽出アレルゲンに感作しており、卵に41名、牛乳に27名、ピーナッツに10名、小麦に25名だった。
■ 計78人中62人がさらに分析され、18人(29%)がオボムコイド、カゼイン、Ara h 1-3および/またはオメガ-5-グリアジンに対してs-IgEが陽性だった。
■ 吸入アレルゲンに感作された乳児は8人(0.7%)だった。
■ 食物アレルゲンに対する母親の感作は乳児の感作と関連があり、オッズ比は3.64(95%CI 1.53-8.68)だった。

結論

■ 生後3ヶ月の段階で既に7%の乳児が食物に対して感作されており、その多くは食物アレルゲン分子に対するs-IgEが検出されなかった。
■ 吸入性アレルゲンに対しては1%未満だった。
■ 母親の食物感作は乳児の感作と関連していた。

 

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