鶏卵を食べられるようになった児は、ウズラ卵を摂取できる可能性が高い

鶏卵アレルギーとウズラ卵アレルギーの関係は?

■ うずらの卵と鶏卵は、アレルギーとして高率に交差すると考えられています。

■ 一般的に、鶏卵アレルギーがある場合にはうずらの卵も除去食を指導することになるでしょう。

■ 鶏卵アレルギーのある児が、うずら卵でアナフィラキシーをおこした…というような報告もあります。

■ では、鶏卵アレルギーに対する治療をおこない、摂取可能になった子どもは、うずらの卵をどれくらい摂取可能なのでしょうか。

■ 現在の環境では全文が読めなかったのですが、最近、そのようなテーマの研究が日本から報告されています。
■ Abstructで概要のみですが、確認してみました。

Yamashita K, Okada Y, Honda A, Kunigami C, Maeda M, Nakamura T, et al. Clinical Features of Quail Egg Ingestion in Patients with Acquired Tolerance to Hen Eggs: A Case Series Study. International Archives of Allergy and Immunology 2023:1-6.

1歳以上の鶏卵アレルギーを持つ小児62名で、鶏卵に対する治療により耐性となった患者に、3個の茹でウズラ卵による経口食物負荷試験(OFC)を実施した。

はじめに

■ 鶏卵アレルギーの患者は、ウズラ卵など他の鳥類の卵を摂取を避けることが一般的である。
■ しかし、鶏卵に対して耐性を獲得した後にウズラ卵の摂取を避ける必要があるかどうかは明らかではない。
■ この研究では、ウズラ卵摂取の臨床的特徴を評価することを目的とした。

方法

■ この前向き症例シリーズ研究は、2019年10月から2021年2月の間に当院で募集した、鶏卵アレルギーを持つ1歳以上の小児を対象にした。
■ 鶏卵に対する治療により耐性を持った患者のウズラ卵摂取に関する臨床的特徴を評価するため、3個の茹でウズラ卵による経口食物負荷試験(OFC)を実施した。
 主要評価項目は3個のウズラ卵摂取後のOFCの陽性反応だった。
■ 副次的評価項目は、皮膚プリックテスト(SPT)による鶏卵とウズラ卵の交差抗原性、ウズラ卵アレルギーの発現パターンと重症度だった。
■ 鶏卵とウズラ卵のSPTにおける膨疹の直径の相関は、ピアソン積率相関係数を用いて評価した。

結果

■ 計62名の患者がウズラ卵OFCを受けた。
■ 年齢中央値(四分位範囲)は3歳(2-5歳)で、33名(53%)は鶏卵によるアナフィラキシーの既往があった。
■ 加熱全卵OFCを受けた患者の総IgE値の中央値は271(98-593)IU/mLだった。
■ 卵白およびオボムコイド特異的IgE抗体価の中央値は、それぞれ9.7(3.2-21.5)、4.4(1.3-6.9)UA/mLだった。
 ウズラ卵OFCの結果、3種類のウズラ卵を完食した59名のうち、アレルギー反応を示した患者はいなかった
■ 生卵およびゆで鶏卵、ウズラ卵白のSPTの陽性率と陰性率は相関していた。
■ SPTによる膨疹の直径は、鶏卵の生卵白と卵黄と正の相関が見られた。

結論

 鶏卵に対し後天性耐性を獲得した患者は、ウズラ卵の摂取を避ける必要はない可能性がある。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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