TEWL高値(=バリア機能低下)は食物アレルギー発症を予測する

Kelleher MM, et al. Skin barrier impairment at birth predicts food allergy at 2 years of age. J Allergy Clin Immunol 2016 (in press).

皮膚バリア機能が、その後のアトピー性皮膚炎発症を予測する。では食物アレルギーは?

■ 皮膚バリア機能は、アトピー性皮膚炎の発症にかかわります。

■ 例えば、バリア機能に関連する遺伝子であるフィラグリン遺伝子異常がその代表でしょう。

■ しかし、フィラグリン遺伝子異常が関係するアトピー性皮膚炎は一部です。

■ 今回は、皮膚バリア機能を示すTEWLを指標にした食物アレルギー発症予測の検討をご紹介します。

■ 同グループは、すでにTEWLを指標にアトピー性皮膚炎発症予測の報告をしています。

 

PECO
P: Longitudinal Impact Using NeurologicalとNutritional Endpoints(BASELINE)出生コホートに参加した1903名の乳児のうち、2歳児に皮膚プリックテストと経口食物負荷試験でスクリーニングされた1260例
E: -
C: -
O: 生後2日、6ヶ月の経皮的水分蒸散量(TEWL)が生後2歳時の食物アレルギー(FA)を予測するか

 

結果

■ 食物感作(FS)は6.27%(79/1260; 95%信頼区間(4.93%~7.61%)にあった。

■ 食物アレルギー(FA)有病率は4.45%(56/1258; 95%信頼区間(3.38%~5.74%))で、FAの有症率は、鶏卵が2.94%、ピーナッツ1.75%、牛乳0.74%だった。

生後2日における上位1/4のTEWL(>9g water/m2/h)は、2歳時のFAに関する有意な予測因子だった(オッズ比[OR]、4.1; 95%信頼区間、1.5-4.8)。また、2歳時にFAをもつ75%の児は、生後2日にTEWLが上位1/4だった。

■ ADを発症しなかった児でおいても、生後2日目に上位1/4のTEWLの乳児は、下位1/4の児に比較して、生後2歳時に3.5倍(95%信頼区間、1.3-11.1; P = .04)のFAの発症が予測された。

 

 

新生児期のTEWL(経皮水分蒸散量)は皮膚バリアを反映し、アトピー性皮膚炎発症を予測する。

■ TEWLは皮膚から蒸散してくる水分量ですので、皮膚バリア機能を反映します。

■ 生後2日目の皮膚バリア機能がその後の食物アレルギー発症を予測し、それはADを発症しなくても起こりうるという結果。最近、本邦からも同様の報告が最近でています。

■ ごく軽症のAD(つまり乾燥レベル)でもTARC/CCL17は上昇することが別の報告であり、バリア機能が引き金でTh2サイトカインが誘発され、その後ADやFAを引き起こしてくると考えていいのではないかと私は考えています。

Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう