世界的に増加中、牛乳アレルギーによるリスク
■ 牛乳アレルギーは、日本だけでなく、海外でも増えており、とくに重症のアナフィラキシーの原因としてナッツよりも増えているのではという報告もあります。
■ 先進国における1歳児の牛乳アレルギーの有病率、つまりこの年齢でアレルギーを持っている子どもの割合は0.5%から3%と報告されています。
■ 日本でも、食物アレルギーの頻度としては第2位です。
■ 牛乳が原因で起こる小児の致死的アナフィラキシー、つまり命に関わるアレルギー反応の発生率は、100人の子どもを1年間追跡したときに0.0016回から0.15回発生すると推定されています。
■ また、小児でアナフィラキシーが再発する割合は、100人・年当たり6.6回から90回とされ、食べる乳製品の量やアレルギーの一般的な発生率などによって異なるとされます。
■ では、IgEを介した牛乳アレルギーの患者において、アナフィラキシーはどれくらい起こり、そしてアナフィラキシーの再発はどのくらいの頻度で起こるのでしょうか。
■ 最近、システマティックレビューが発表されています。
Pérez-Codesido S, Grifol-Clar E, Petrone MB, Malumbres MG, Garban PA, Tejedor-Alonso MA. “Frequency of fatal and recurrent anaphylaxis due to COW'S milk: A systematic review and meta-analysis of observational studies”. Pediatric Allergy and Immunology. 2023;34(7):e13977.
1996年から2021年に発表された、牛乳によるアナフィラキシーの発生率および有病率を評価したコホート研究、横断研究、登録研究に関し、牛乳によるアナフィラキシーの再発(7研究)と致死的アナフィラキシー(9研究)のシステマティックレビューを実施した。
背景
■ 牛乳アレルギーはアナフィラキシー反応を引き起こす可能性があり、先進国における牛乳アレルギーの推定有病率は、1歳時点で0.5%~3%である。
目的
■ この研究の目的は、システマティックレビューおよび可能であればメタアナリシスを行い、牛乳によって誘発される致死的アナフィラキシーと再発性アナフィラキシーの頻度を評価することだった。
■ PubMed/MEDLINE、EMBASE、Web of Scienceを検索し、国もしくは少なくとも行政区域の人口を対象とした、牛乳によって誘発される致死性や再発性のアナフィラキシーを評価した研究を検索した。
方法
■ このレビューには、牛乳によるアナフィラキシーの再発または致死的アナフィラキシーの発生率または有病率を評価したコホート研究、横断研究、登録研究が含まれた。
論文から引用。システマティックレビューに含まれた牛乳によるアナフィラキシーの再発を評価した7件の研究のまとめ(翻訳は管理人)。
論文から引用。システマティックレビューに含まれる牛乳による致死的なアナフィラキシーを評価した9研究のまとめ。
■ 少なくとも1回のアナフィラキシーのエピソードに対するプールされた再発有病率(prevalence of recurrence; PR)は26.98%(3.85-189.1)だった。
■ Teymourpourら(イラン)が最も高いPR(53.10%)を報告し、PRが最も低かった2件の研究はフランスだった(それぞれ5.2%および0.42%)(p < 0.01)。
■ 致死的アナフィラキシーに関する9研究が選択され、死亡例は41件であった。
■ これらの研究では異質性が高いことが判明した(I2 = 75.9%)。
■ LevyらとBassagioらの報告が最も高い発生率を示した(それぞれ IR(incidence rate) 0.15と0.6死亡/100万人・年)。
結論
■ アナフィラキシーのPRは牛乳によるアナフィラキシー患者の約4分の1に達したが、牛乳によるアナフィラキシーによる死亡は非常にまれだった。
■ しかし、最も低いIRの15倍という高い率を報告した研究も存在した。
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