牛乳アレルギーの予後と成長への影響は?
■ 牛乳アレルギーは、多い食物アレルギーのひとつで、日本では2番目に頻度が高いです。
■ ただ、牛乳アレルギーは、多くは改善することが多いとされています。
■ しかし、それでも、年齢が長じるまで持ち越してしまう場合もあります。
■ 年齢が長じるまで持ち越した牛乳アレルギーは、寛解する頻度がゆるやかになってくると想定されていますが、実際はどれくらいなのでしょうか。
■ 最近、6歳まで持ち越した牛乳アレルギーが、12歳までに耐性を獲得するかどうかを検討した報告が、日本から報告されました。
Kubota K, Nagakura KI, Ejiri Y, Sato S, Ebisawa M, Yanagida N. Natural history of cow's milk allergy in children aged 6-12 years. Pediatr Allergy Immunol 2023; 34:e14064.
背景
■ 即時型牛乳アレルギー(CMA)の小児の約50%から90%が就学前までに耐性を獲得する。
■ 本研究は、6歳から12歳の小児におけるCMA耐性の獲得率を調査することを目的とした。
方法
■ 非加熱牛乳(CM)200mLの経口食物負荷試験が陰性、または症状なしにCM200mLを摂取できた場合を寛容と定義し、12歳までにこれらの基準をどちらも満たさない場合を持続性CMAと定義した。
■ 経口免疫療法(OIT)を受けている小児は一次解析から除外した。
■ CMAの持続に関連する危険因子をCox回帰分析で評価した。
結果
■ 対象となった80人の小児のうち、30人(38%)がCMアナフィラキシーの既往があり、40人(50%)が食事からCMを完全に除去していた。
■ 6歳時のCM特異的IgE抗体価の中央値は12.0 kUA/Lであった。
■ 耐性は、9歳までに25人(31%)、12歳までに46人(58%)が獲得した。
■ ベースライン時のCMAの持続は、CM-sIgE値の高値(ハザード比2.29、95%信頼区間1.41-3.73、至適カットオフ値12.7 kUA/L)、CMアナフィラキシーの既往(2.07、1.06-4.02)、CMの完全除去(3.12、1.46-6.67)と関連していた。
■ 3つの危険因子をすべて有していたCMAの小児(n = 14)では、耐性を獲得した小児はいなかった。
結論
■ OIT患者を除く6歳時点でCMAのある小児の半数以上が、12歳までに耐性を獲得した。
■ 危険因子を有するCMA患児は、耐性を獲得する可能性が低いことが示唆された。
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