牛乳アレルギーのある子どもの成長率は、牛乳アレルギーのない子どもと異なるか?

牛乳アレルギーの子どもにおける成長と栄養状態の問題点

■ 牛乳アレルギーは、日本でも多いアレルギーです。

■ 一方で、牛乳アレルギーのある子どもに関する研究で、成長率が悪化したり、骨密度が低下するという報告があります。

■ 微量栄養素の摂取に関しても、摂取量がすくなくなるようです。

■ バラエティが乏しくなりがちであることも影響しているかもしれません。

■ 最近、ブラジルにおける牛乳アレルギーのある児の成長、タンパク質、微量栄養素を、18ヵ月間にわたって牛乳アレルギーでない対照群と比較して評価した研究が報告されていました。

 

※2024年1月29日 タイトルが変だったので一部修正しましたm(_ _)m

Jardim-Botelho A, Martins TG, Motta-Franco J, Meyer R, Fontes Vieira SC, Protásio BF, et al. Growth and Nutritional Biomarkers in Brazilian Infants with Cow's Milk Allergy at Diagnosis and 18-Month Follow-Up: A Prospective Cohort Study. Pediatr Gastroenterol Hepatol Nutr 2023; 26:355-69.

生後6ヶ月未満の牛乳アレルギー乳児30人と、年齢でマッチングした非アレルギー児24人を対象にし、成長と栄養状態を18ヶ月にわたってフォローした。

目的

■ 本研究は、ブラジルの牛乳アレルギー(cow’s milk allergy; CMPA)児と健常児を比較し、ベースライン時および18ヶ月フォローアップ時の成長、蛋白質、微量栄養素のバイオマーカーについて明らかにすることを目的とする。

方法

■ 生後6ヶ月未満のCMPA乳児30人と非アレルギーの年齢でマッチングした児24人を対象に縦断的研究を行い、その栄養状態を比較した。

■ 身体測定により成長を評価し、血液と尿サンプルを用いてタンパク質および微量栄養素の状態を分析した。
■ 出生時体重、社会経済的状態、ベースライン時の栄養状態、年齢に対する体重、CRP、血清アルブミン、微量栄養素の食事による補充、食塩摂取を考慮した混合線形モデルを用い、追跡期間中の栄養パラメータの変化を評価した。

結果

■ 登録時の小児の平均年齢は2.9ヶ月(標準偏差1.7)、53.7%が男児だった。

■ CMPA乳児は、ベースライン時、非アレルギー児と比較して機能性鉄欠乏(トランスフェリン飽和度<20%)(p=0.027)、血清フェリチン低値(p=0.009)、尿中ヨウ素低値(p=0.034)の有病率が高かった。
■ CMPA患者は対照群と比較して、年齢に比較した体重、年齢に比較した身長が経時的に増加(p<0.01)した。

■ 混合線形解析では、血清ビタミンB12(s-B12)濃度(p=0.001)および尿中ヨウ素濃度(p<0.001)の経時的増加が対照群に比べて低かった。

結論

■ 牛乳除去食を摂取したCMPA乳児は、18ヶ月後の追跡調査で体重と身長が増加したが、鉄、ヨウ素、ビタミンB12の状態が不十分であった。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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