Sankar MJ, et al. Optimal breastfeeding practices and infant and child mortality: a systematic review and meta-analysis. Acta Paediatr 2015; 104:3-13.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26249674
これまで、完全母乳栄養は、アレルギーの予防としての効果は証明されていないことをUPしてきました。
長期完全母乳栄養はアレルギー感作予防に働かない: コホート研究
しかし、完全母乳栄養にリスクがあるわけではありませんし、母乳のメリットも多いです。今回は完全母乳が人工栄養に比較して、乳児期の死亡率を下げるというメタアナリシス結果です。
P: ランダム化比較試験と前向き・後ろ向きコホート研究、症例対照研究
E: 非完全母乳栄養群
C: 完全母乳栄養群
O: 乳児期死亡リスク
結果
生後0-5ヶ月時の死亡リスクは、完全母乳で育てた群に比較して、大部分を母乳で育てた群でリスク比(RR) 1.5、部分的な母乳群でRR 4.8、、完全人工栄養群でRR14.4だった。
完全母乳群と比較して、母乳で育てられなかった群の生後6-11ヶ月、12-23ヵ月の死亡リスクはそれぞれ1.8、2.0倍だった。
生後0-5ヵ月の感染関連の死亡リスクは、完全母乳群に比較して、大部分母乳群でRR 1.7、部分的な母乳群でRR 4.56、完全人工栄養群でRR 8.66だった。
完全母乳群と比較して、6-23ヵ月の感染関連の死亡リスクは完全母乳群に比較して、母乳栄養のない群では2倍だった。
コメント
完全母乳栄養群は、人工栄養群に比べ、乳児期の死亡率が低いとまとめられます。ただし、生後5ヶ月までの完全母乳であることに留意が必要です。さらに長期に完全母乳である必要があるかどうかはまた別の問題でしょう。
一方、長期の完全母乳栄養がアレルギー予防に働くかどうかは、現状では否定的です。
さらに、加水分解乳に関しては、ハイリスク乳児・妊婦さんに推奨されてきましたが、最近のBMJに発表されたメタアナリシスで否定されたため(Bmj 2016; 352:i974.)、今後ガイドラインが書き変わってくる可能性があります。