喘息の予後を予測できるかというテーマに関して、感作がそのリスク因子になるという報告があります。
■ 以前、小児に関するダニ感作とその後の喘息の持続に関しての報告をUPさせていただきました。
■ 今回は成人に関しての報告を見つけたのでご紹介します。
E: 2001年に気管支過敏性(BHR)とアレルゲン8種(ヤケヒョウヒダニ、ネコ毛、イヌ毛、アルテルナリア、ゴキブリ、花粉混合物、雑草・低木混合物、樹木混合物)による皮膚プリックテスト(SPT)を評価
C: -
O: 10年後の喘息症状に影響するか
Garcia-Larsen V, et al. Changes in symptoms of asthma and rhinitis by sensitization status over ten years in a cohort of young Chilean adults. BMC Pulm Med 2016; 16:116.
結果
■ 試験開始時(2001年)に、少なくとも4分の1の参加者は1種類のアレルゲンに感作されており、10年後(2011年)にアンケート調査に参加した772名が解析対象となった。
■ 1年ごとの喘鳴有症率は、-0.37%(95%CI-0.71 to 0.02%; p = 0.067)であり、アレルギー性鼻炎(自己申告)は、直近12ヵ月の症状が1年にごとに0.83%(95%CI 0.49 to 1.17%; p < 0.001)増加した。
■ 試験開始時に、ネコ毛(OR 1.76; CI 1.01~3.05)、ゴキブリ(OR 2.09; 1.13~3.86)、イネ科雑草・花粉の混合物(OR1.78; 95%CI 1.08~2.92)、雑草(OR 1.77; 95%CI 1.01~3.12)いずれかに感作されている参加者は、10年後においての直近12ヶ月の喘鳴が有意に持続していることが示唆された。
吸入アレルゲンに対して感作されると、喘息と鼻炎が持続する危険因子になる。
■ 成人喘息に関して、10年間での喘息症状は概ね安定(もしくは僅かな減少)と言えますが、一方で鼻炎は大きく増加していることになります。
■ そして、少なくとも1つのアレルゲンに対して感作されると、喘息と鼻炎が持続する危険因子であるとまとめられます。
■ 以前、小児に関して、ダニの早期感作が持続した喘息症状の強い予測因子になることをUPしました。
■ 一方で、1歳未満からのダニの早期免疫寛容誘導は喘息の予防ができなかったことも報告されています。
■ 全くもってややこしい事態ですが、感作は喘息の予後の危険因子になることは明らかで、でも免疫療法で発症予防は証明できていないと理解しています。