小児期の動物感作と喘息重症度は気管支喘息を持続させるリスクとなる

小児喘息が改善しないリスク要因はなにか?

「小児喘息は成長すれば自然に良くなる」と言われることが多いのですが、本当でしょうか?

■ これは、あくまで低年齢での喘息の一部のフェノタイプ(Transient early wheezers [一時的な早期喘鳴])に言えるのであって、7歳以降に上気道炎にかかわらず喘鳴がある場合は成人まで続く可能性が高いことが指摘されています(Stein RT,et al. Thorax 1997; 52:946-52.)。

■ 今回ご紹介する研究結果は、7-8歳の喘息児が19歳時点で喘息が持続しているリスク要因を調査したものになります。

 

PECO

P: 北スウェーデンの3つの自治体において登録された7-8歳の喘息患者205人

E: 喘息状態、喘息の家族歴、喘息薬物使用(吸入ステロイド薬を含む)、喘息重症度スコア、医師に診断された鼻炎または湿疹、過去1年間の交通曝露と家庭内の湿気曝露  
  10種のアレルゲン皮膚プリックテスト(一部の患者)
  呼吸機能検査(全員)+メサコリン負荷試験(一部の患者)

C: -

O: 19歳時点での持続した喘息に対するリスク因子

 

Andersson M, et al., Remission and persistence of asthma followed from 7 to 19 years of age. Pediatrics 2013; 132:e435-42.

7-8歳の喘息児205人が、19歳時点まで喘息を持続させたリスク因子を検討した。

■ 喘息はISAACアンケートと診察で特定され、試験開始時の登録患者245人のうち、205人が19歳時点で評価された。

■ 喘息重症度はアンケートを使用された。現在の喘鳴、毎日の喘息薬物使用、喘息による睡眠障害が週に≧1日/週、会話を制限するような喘鳴症状が≧1/週、過去12ヶ月における喘鳴が12回よりの多いかどうかがアンケートに含まれた。

■ 寛解の評価は、過去12ヵ月間に喘息薬物の使用も喘鳴もないものと定義され、持続性喘息は先行する調査のうち少なくとも8-9回は持続した喘鳴があるものとし、再発性喘鳴は、持続性喘息でも寛解でもないものと定義された。

■ 結果として、19歳時点で、21%は寛解、38%は再発性喘鳴、41%は持続性喘息であった。

■ 寛解は、男児により多かった。

7-8歳時点における動物の毛に対する皮膚プリックテストや特異的IgE抗体価陽性、重篤な喘息は、19歳時点での喘息の持続に有意に関連した(動物の毛に対する感作 [オッズ比:0.14、95%信頼区間:0.04-0.55]、重篤な喘息(オッズ比:0.19、95%信頼区間:0.07-0.54])。

これら2つの特徴がある児の82%は、19歳でも喘息が持続していた。

 

小児期に喘鳴を繰り返しており、動物のアレルギーがある場合は、19歳でも8割が喘息が持続している。

7-8歳での喘息児において、喘鳴が繰り返しあり、動物の毛に対してアレルギー感作されている場合は、19歳時点でも喘息が8割持続する可能性が高いとまとめられます。

■ 過去、メルボルン研究により、7歳でのあきらかな喘息は42歳でも持続している場合が多いことが報告されています(Phelan PD, et al., J Allergy Clin Immunol 2002; 109:189-94.)(Stein RT,et al. Thorax 1997; 52:946-52.)。今回は7-8歳の喘息患者の19歳での評価になります。

■ 吸入ステロイド薬が小児に適応されるようになる前と後といえるのではないでしょうか。

■ さて、メルボルン研究のその後、50歳までフォローした研究があったので、明日UPしようと思います。

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