Lambert R, et al. Evidence that eating baked egg or milk influences egg or milk allergy resolution: a systematic review. Clin Exp Allergy 2017; 47:829-37.
加熱加工した製品による経口免疫療法?
■ 先日、bakedされた卵(加熱加工された卵製品)を半年間摂取しても、生卵は摂取できるようにならず、さらにIgEやIgG4といった血液検査データもプラセボと有意差がないという結果をご紹介いたしました。
■ bakedされた卵や乳に関しての研究結果は不足しており、自分自身の中でもどういうスタンスにするべきか悩むことがあります。
■ そこで、今回はbakedされた卵・乳に関して、予防・治療効果があるかどうかを確認したシステマティックレビューをご紹介いたします。
E: bakedした卵・乳摂取
C:
O: 卵・乳アレルギーの改善に働くか
結局、何を知りたい?
✅bakedした卵・乳がアレルギーの改善に働くかということを知ろうとしている。
加熱加工された卵・乳の定期摂取は治療効果があるか?
■ 0-18歳の小児に対するランダム化比較試験、ケース-コントロール、コホート研究が対象となった。メタアナリシスは研究不均一性のため不適当であると考えられた。
■ Konstantinouらは、レトロスペクティブに卵アレルギーもしくは感作を有する小児を確認した。全員に対し、bakedした鶏卵負荷試験を実施し、耐性のある参加者がbakedした卵の漸増を指示され、6ヵ月後にオープン負荷試験を実施した。bakedした卵に耐性を示した87人のうち、83例(95%)は卵耐性だった。
■ Leonardらは、前向きコホートを用いて、卵アレルギー患者を調査し、bakedした卵耐性の患者にbakedした卵を摂取するように勧め、レトロスペクティブに47人のマッチした対照を設定した。4年間の追跡調査で、最初にbakedした卵に寛容であった42人(53%)が耐性を示し、対象群13人(28%)と比較して、有意に卵に耐性を示した。
■ Petersらは、生の鶏卵アレルギー乳児の前向き集団コホートを調査し、bakedした卵負荷試験陰性の参加者に食事にbakedした 卵を組み込むように指示し、1歳時までフォローした。対照群は設定されなかった。basedした卵に耐性を示した児の46人(49%)は、試験開始時にbakedした卵に反応した群の13%と比較して、2歳時に生卵に耐性を示した。
■ Kimらは、牛乳アレルギーを持つ小児に対する前向きコホートに関して述べ、bakedした乳に耐性を示した参加者は、それを食事に組み込むように指示し、中央値37ヶ月で負荷が行われた。対照はレトロスペクティブに設定された。試験開始時にbakedした乳に対して耐性があった乳児のうちの39人(60%)は、追跡調査において生乳に対して耐性が確認され、ベースラインでbakedした乳に反応した群の9%と比較して多く、レトロスペクティブに設定した対照の22%の寛容と比較しても多かった。
■ Nowak-Wegrzynらは、さらに中央値83ヶ月時に追跡調査に関して報告した。試験開始時にbakedした乳に耐性があった児のうち37人(72%)は生乳に耐性を示し、bakedした乳に反応した児のうち2人(9%)の耐性と比較して高かった。
■ さらに、独立したコホートで、Nowak-Wegrzynらは、乳アレルギーに関して報告し、マフィン、ピザ、ライスプディング、生乳の負荷試験を行った。
■ これらの研究結果から、baked製品がアレルギーの改善させる可能増やし、軽快を加速すると結論した。
■ しかし、批判的に吟味された場合、それらが観察研究であり適切なコントロール群が設定されていなかったため、エビデンスは弱いと考えられた。
■ そのため、この結論には検討の余地があり、また、baked製品に対しても重篤な反応が多くの例で認められた。
結局、何がわかった?
✅bakedされた卵・乳の定期摂取は治療効果があるように見えるが、ランダム化比較試験はなく、対照も後付けであり、効果があると結論できなかった。
加熱加工された卵・乳は効果がありそうだが、まだエビデンスが低いようだ。
■ 現状では、bakedされた鶏卵、牛乳の摂取が鶏卵・牛乳アレルギーをアウトグローさせるという仮説を対象にするエビデンスはほとんどないとされていました。
■ 現状では、治療や予防目的としてはなかなか公式には使いにくいようです。
■ しかし、効果がないという結論でもありませんので、今後検討が進められることを期待したいですね。
今日のまとめ!
✅加熱加工された卵・乳製品により、免疫寛容が誘導される可能性はあるが、まだ十分な研究結果がなく、結論できていなかった。